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AHPコンピテンシーコラム第10話

靖 伊藤

今回は、傾聴のスキルのお話です。

「きく」には3つの「きく」があります。「耳で聞く」、「口で訊く」、「心で聴く」の3つです。傾聴とは相手の立場に立って聴くことだと言われますが、なかなか相手の立場に置くことは出来ません。そういうときに、逆に自分の立場に置き換えたらどうなるのかと言うことを考えて訊いてみては如何でしょう。そして、相手の答えを聴くと、より相手の立場に近づいていることが感じられるのです。傾聴のコツは、野球のキャッチボールのようなもので、投げるときは相手が取りやすいように投げ、受けるときは少し外れていてもしっかり取ることにあります。相手がこちらに対して余り良い感情を持っていないときは少し外れた球や剛速球を投げてくるかもしれません。それを貴方が無視して取りにいかなかったり、同じように剛速球を投げ返したりすると、キャッチボールにはなりません。この言葉のキャッチボールをするときの重要な5つのキーワードがあります。一つは「うなずき、相槌」です。相手の話をしっかり聴いて、それに対してこちらが「聴いていますよ」と言うことを知らしめる動作です。目や顔が他所を向いていたりすると相手は「聴いていないのか」という気になり、真剣に話すことを止めてしまうことが良くあります。二つ目は「メモをする」ことです。ポイントをしっかり書き留めることで相手に聞いている態度を知らしめるだけでなく、振り返って質問をするときにも重要です。これは、お客様を訪問したときも同じで、大事なお話をして頂いているときにメモも取らずに聞いていると、相手の話のトーンが落ちたり、話さなくなったりすることもあります。三つ目は「相手の言ったことの繰り返し」をすることです。これをすることで、やはり相手に「聴いていますよ」という意思表示をするだけでなく、言葉に発することで自分の脳に刺激を与え、印象付けることが出来ます。四つ目は「相手の言ったことを要約する」ことで、これは「繰り返し」と同じ意味を持つと共に、要約することで自分の理解を相手に伝えることになります。もし、相手が「いや、そうではなくて」と返してくれば、その時点で自分の理解を修正することが出来ます。五つ目は「相手の心情を察してフィードバックする」ことです。例えば、営業で、夜遅くまでお客様を訪問して受注にこぎつけた部下が帰社したとき、ついお客様に対する愚痴が出ることがありますが、この様なときに、「そうか、大変だったな」の一言はその営業マンに「よし、今度もがんばろう」という気持ちを持たせることが出来るのではないでしょうか・

さて、次回は、残りの3つのスキルについてお話しします。

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