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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第103話

今回は久しぶりに巷に見たコンピテンシーについてお話したいと思います。

これは家の近くにあるスーパーマーケットで見かけた2人の店員さんの行動です。

私は業務に関する買い物をする時には領収証の発行をお願いしています。このスーパーマーケットでも同じように領収証の発行をお願いしていました。以前から対応してくれていた方は、2,3度お願いする内に、私がサービスカウンターに向かって歩いていくと、にっこり微笑んで、「領収証ですか?」と問いかけ、こちらから「はい、名前は」と言うと、「伊藤様ですね。」と対応いただき、非常に気持ちよく感じていました。ところが、あるとき、別の方がカウンターにいて、「領収証をお願いします。名前は伊藤でお願いします。」と言うと、レジを操作しながら(これは領収証を発行する為にですが)、「ちょっとお待ち下さい。」と言われました。最初の時は、「この人は慣れていないから、仕方がないな。」と思っていましたが、数カ月経っても「ちょっと待って下さい」という対応は変わらない状況です。

さて、ここでこの2人の行動を、コンピテンシーの観点から見てみたいと思います。対象となるのは、「顧客志向性向」のコンピテンシーです。「顧客志向性向」は「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」です。前者は、レジの操作をしながらもこちらに注意を向けて、言葉もしっかり聴き取っています。それに対して、後者はレジの操作、つまり、自分の仕事を優先して、顧客の言葉を遮っています。また、前者は来店したお客様に関心を持ち、名前と要件を覚えていますが、後者はそのような対応は取っていません。つまり、前者が「顧客の言葉だけでなく、様子や雰囲気から、相手が求めているものや不満な点を敏感に察知し、対応している」レベルを発揮しているのに対して、後者は「顧客からの直接、要求されたことに対しては対応しているが、自主的に顧客満足につながるようなことを察知したり、研究したり、対応したりすることはない」レベルに止まっているのです。この2人には殆ど年齢に差はないように見えますので、コンピテンシーの違いがこのような違いを生んでいるものと考えざるを得ません。この2人のどちらの行動がお客様に好印象を与えるかは皆さんもよくおわかりと思います。

しかしながら、自分たちの会社ではこれに似たような事例がないか、それによって、自社のファンが少しずつ少なくなってはいないかと言う事を、一度点検してみては如何でしょうか?

 

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