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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第104話

最近、モチベーションについてお話しする機会が増えています。やはり、ビジネスを展開していく為には、一人で出来る事には限界があり、様々な人たちを巻き込んで、協力を得る必要がある為、モチベーションアップに対する関心が高くなっている事が感じられます。

モチベーションアップに関連するコンピテンシーとしては、「対人影響力」と「対人理解力」の二つが挙げられます。人を動かすためには、先ず、相手の言う事を傾聴し、理解した後、こちらの理解してほしい事を話す事が重要です。よって、「対人理解力」が先ず求められます。「対人理解力」の定義は「単に言葉や態度で伝えられたものだけでなく、言外にある意味も含めて、相手の気持ちや考えを、自分の考えや感情で歪めることなく、その通りに正確に理解していく能力」です。コミュニケーションと言うと、言語的コミュニケーションばかりを考えがちですが、それ以上に事がを介さない非言語的コミュニケーションが重要になります。人が発する行動や表情などの非言語コミュンケーションをきちんと理解するとともに、自分自身が無意識に発している非言語的コミュニケーションを意識的にマネージしていくことが必要になります。一方、「対人影響力」の定義は「社内外の関係者に対して、あらゆる説明の方法やツールを駆使しながら、こちらの考えている通りに相手が納得し、動いてもらうように影響を与えていく能力」で、そのレベル2では、「こちらの考えや要求を相手に伝える時は、根本的な理由を正確に分かりやすく伝えて、相手を説得している」ということで、話し方に重点を置いています。それがレベル3では、「何か相手を説得する時は、事前に最も効果的な方法を考え、理論武装、説明資料など綿密な準備をした上で説得し、相手が聞き入れない場合でも聞き入れるまで諦めずに説得している」となり、準備に重点が置かれ、忍耐強さがプラスされます。そして、レベル4では、「理論武装、説明資料などを準備するだけでなく、相手の人間的な特性を敏感に見抜き、その特性に合わせた説得方法を事前に綿密に準備をした上で、様々な手管を用いて、相手が聞き入れるまで諦めずに説得を続けている」となり、こちらからの発信の前に、相手の理解に重点が置かれ、それに合わせた対応の仕方が重要視されます。

人を動かすためには、2つの「理」が必要です。一つは『論理』、もう一つは『心理』です。人を動かすためには、こちらからの働きかけに対して、先ず「理解」を示し、次に「納得」し、行動に移すというステップを踏みます。「理解」の為には『論理』が必要ですが、「納得」には『心理』が必要になります。「論理」とは、筋道で、相手の言っている事が正しいことで、「まともに考えれば確かにそうなる」と考えられる事ですが、これだけで人が動くとは限らないのです。『心理』、つまり信頼が置ける相手なのかと言うことが重要で、信頼がおける人の言う事なら、多少論理的におかしいと感じても動いてしまうのが、感情を持った人間の行動なのです。

その為に、常日頃から他人の信頼を得る為に必要な行動をする必要がありますが、そこにおける傾聴や観察、そして伝達のコミュニケーションが重要な役割を占めている事は皆さんも重々ご承知の事と思います。

次回は、モチベーションに影響を与えるものについて、お話したいと思います。

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