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  • 靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第107話

今回は、相手と信頼関係を形成する為の第2段階についてお話したいと思います。

前回は、信頼を構築する為に、相手の話を傾聴する事が重要であるというお話をしました。傾聴することにより、相手は少なくとも「話を聴いてもらえた」という満足感を得る事ができ、さらに「自分の言っている事を理解してもらえた」と感じることもあります。

 ただ、これだけでは、相手にとって話を聴いてくれる「唯の良い人」に終わってしまいます。相手の言っている事を様々な観点で考察し、全体からみて相手の将来にとってどのようにすることがよいかを言う事を相手の立場に立って話していくことが必要になります。

その際に必要になるのが「論理」です。相手の将来にとっては良い事であっても、今の相手にとってはつらい事もたくさんあります。しかしながら、それを乗り越える事が相手にとって大切であると考えて、構築した信頼を背景に親身になって話していくと、相手は「この人は自分の話をしっかりと聴いてくれたから、この人の話も聴いてみよう」と考えるようになり、最後には「なるほど、今の自分はこれが出来ていない事が問題だけど、この問題を解決することが将来の自分にとっては必要なんだ。これを言ってくれた事はありがたい」と感じるようになる事もあります。その為には、こちらの言っている事が、相手にとって実行することが可能であり、且つ結果に繋がるという事を相手に感じさせる事が重要で、この際に、必要とされる思考が「論理的思考」と「戦略的思考」です。

「論理的思考」とは、「思考や議論の妥当性を保証する原理や法則」を指す論理に基づいて考え、明確な筋道を立てて考えること、つまり、結論(主張)、証拠、論拠の間が客観性の高い事実やデータなどで整合性がとれた筋道が立った思考です。論理的思考として取り上げられるのが、「演繹法」と「帰納法」です。

「演繹法」は一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る推論方法で、①世の中に実在する事実を述べ、②その事実に関連する状況を述べ、③二つの情報が意味することを解釈し、結論とする思考法です。よく例示されるものとしては、①として、「ソクラテスはいつか死ぬ」という事実を述べ、②として「ソクラテスは人間である」という関連する状況を述べ、③として、「ソクラテスはいつか死ぬ」という結論を述べると言ったもので、これは基本的に人に「なるほど」と受入られる結論で、一般的に説得の際に使われている方法です。が、時として①と②から導き出せない③を結論として提示すると、相手から反論されたり、信用されなくなったりしてしまいます。

一方、「帰納法」は、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする推論方法で、①観察される複数の事象の共通点を見つけ、②着目した共通点からルールを想像する方法です。「Aさんは買った」、「Bさんは買った」、「Cさんは買った」と言った大多数の結果をベースとして、「皆、買う」という結論を見出すもので、多くの経験を基に生まれる経験知による判断は帰納法によるものが多いと言われています。ただ、演繹法においては前提が真実であれば結論も必然的に真実になりますが、帰納法においては前提が真実であっても結論が真実になるとは限らないという点に注意することが重要です。

よって、「演繹法」と「帰納法」の双方を使いこなす事が肝要となります。

次回は、「戦略的思考」について、お話します。

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