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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第112話

今日は、以前、日曜日の朝のある情報番組で取り上げられていたコメダ珈琲店の従業員が発揮しているコンピテンシーと、多くの従業員がそれらのコンピテンシーを共有することで、会社のコアコンピタンスになっていることについてお話ししたいと思います。

コメダ珈琲店は、ご存知の方も多いと思いますが、名古屋を起点とした珈琲店で、業容を伸ばし続けている企業です。業容の拡大を支えているのはリピーターの多さで、毎日来る人も多いとのことです。その為、本店の従業員のAさんは、注文の取る時に、「いつものでいいですか?」と言いていました。そこで、リポーターが「『いつもの』で分かるんですか?」と訊くと、Aさんは「お客さんは50人位は覚えている」とのことで、Aさんが中に注文した『いつもの』オーダーを数人のお客様に確かめてみると、一つの間違いはありませんでした。これは「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」である顧客志向性のコンピテンシーの「直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化や兆候を敏感に感じ取り、その変化や兆候への対応を継続的に考案し自ら実行している」という非常に高いレベルが発揮されていると考えられます。これがAさんだけでなく、多くの従業員が発揮していることを考えると、業容の拡大も偶然と言う事は出来ないと思います。ただ、このようなコンピテンシーはなかなか共有することが難しいのですが、何故、コメダ珈琲店ではそれが出来ているのでしょうか?

その番組で挙げられたコメダ珈琲店の3つの強みがあります。一つ目は「居心地がいいこと」で、座った時に、他人に顔を見られないような造りになっており、ゆったり時間を過ごせる事がリピーターを増やしているそうです。二つ目は「メニューに『お値打ち感』があること」で、一つ一つの量が結構あります。値段は珈琲が380円と決して安いとは言えませんが、お客様によると「値段は安からず、高からず」で満足を与えているようです。そして、三つ目が「接客に臨機応変であること」です。冒頭にお話した『いつもの』というものには、例えば、珈琲についても「熱め」「温め」があり、お客様の小さな我儘に対応しているものです。実はこの3つの強みを発揮する為には、「がちがちにマニュアルで決めない」という決まりがあり、その分、最初の教育において、マニュアルに書かれていない事をきちんと考える癖をつけていくことが重要と従業員皆が考えるようになっているとのことです。コメダ珈琲店ではカツサンドは通常は3つに切るそうですが、2人連れの 場合は、接客係はカツサンドの注文があると、「カツサンドは3つ切りですが、4つ切りにも出来ますが、以下がしましょうか?」と必ずといって良いほど訊くそうです。以前、ある居酒屋に4人で行ったとき、刺身から全て3つしか来ず、4つにできないか訊いたところ、「それは出来ません」と言われた事があり、やむを得ず、2つ注文した事を考えると、その時点では売上は上がるでしょうが、リピートという意味では、次回は必ずしも足を向けようとは思わないその居酒屋に比べ、コメダ珈琲店はフレキシブルな教育システムにより正に顧客志向性を共有した企業ということができるのではないでしょうか?

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