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  • 靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第118話

前回は、リーダーに必要なコンピテンシーとして“リーダーシップ”と混同されやすい“イニシアティブ”についてお話しましたが、今回は、やはり、リーダーに必要な“分析的思考力”について、お話ししたいと思います。

私が実施している研修の多くは、リーダー(この場のリーダーは、単なる職場リーダーではなく、組織を引っ張る人財を指しますが)に必要される能力向上を目的としたもので、その中心は、コミュニケーション能力と問題解決能力になります。コミュニケーション能力に関するコンピテンシーとしては、対人理解力と対人影響力がその双璧をなしますが、問題解決能力で重要になるのが、分析的思考力です。分析的思考力は「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」です。問題を解決する場合、今までの経験で、その問題に対して、即対応してしまう事が多いと思います。忙しい業務においてはそれも重要な事ですが、事によっては様々な事象を総合的に考慮して、根本的な原因を突き止めて、それに対応する抜本的対策を打つ事が必要です。この問題解決の為には、“問題解決の4つのステップ”を踏む事が必要です。“問題解決の4つのステップ”とは、「あるべき姿を描き」(ステップ①)、「現状を分析し」(ステップ②)、「根本的な原因を追究し」(ステップ③)、「解決策を取る」(ステップ④)事です。ここに分析的思考力が必要になります。問題を定義する際に、あるべき姿をしっかりと見定め、それと現状とのギャップとして、問題を定義し、その問題を惹き起こしている色々な原因を探り出し、根本的原因を突き止め、それを課題に転換した上で、その課題を実行する為に何をすべきかを具体的かつ実行可能な施策を策定することが必要となるのです。

この問題解決は、頭では分かっている(と考えている)人が多いと思いますが、いざ自分の問題を当て嵌めると実践できていないことが多いと思います。私のコンピテンシーディクショナリーにおける分析的思考力のレベル3では、「情報やデータをただ分析するだけでなく、それに基づく洩れダブりのない原因究明を行い実行可能な対応策を自らで考え出している」、そして、レベル4では、「状況や環境の分析から表面的なものではなく、潜在的なものをも見つけ出し、実行可能な対応策を自分で考え出している」としています。「分析」と言う言葉は色々な使い方をされますが、情報やデータを集めて並べるのではなく、それらが意味するものが何であるかを理解することが問題解決の第一歩と考える必要があります。

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