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  • 靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第119話

今回は、顧客志向力についてお話ししたいと思います。

顧客志向力とは、「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」です。このように書くと、とにかくお客様の言うことに対応していく能力と考える人が多いと思います。確かに、お客様が期待していることに対応していくことは重要であり、これがお客様との関係をさらに密なものにしていきます。但し、それはお客様が言葉にしていることに対応するものではないと考えます。私自身もお客様と直接お話しする機会がよくありますが、お客様もしてほしいことがきちんとまとまっていないこともあります。そういう場合は、自分の期待する一部だけを言葉にしていることがよくあります。ここで重要になるのは、お客様が言葉にしていない真の要望を訊き出したり、こちらでまとめて提示したりすることが必要になります。

以前「がっちりマンデー」でよく売れている3つの商品が紹介されたことがあります。この日のテーマは「引き算」でした。一つ目は、柔軟剤から柔軟剤を引いた香り付けの商品、二つ目は、結び目のない靴紐、三つ目は画面のないテレビでした。これらの商品が生まれる過程は少しずつ異なりますが、全てに共通するのは、この商品がほしいという最終形が要望されたのではなく、その商品が提供する効果に対して、様々な取り組みを行っているということです。特に、結び目のない靴紐は、開発した会社の社長が感じた不便さから生み出されたものです。自らのニーズからシーズを生み出し、それを世間に提示したところ、同じ不便さを感じていた人達から支持されたとういうことです。これは、「顧客の言葉だけでなく、様子や雰囲気から、相手が求めているものや不満な点を敏感に察知し、対応している」レベルに止まらず、「直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化や兆候を敏感に感じ取り、その変化や兆候への対応を継続的に考案し自ら実行している」レベルに近いと考えます。営業マンは、ただ単にお客様からの要望をお聴きするだけでなく、視野を広げて、様々なものに興味を持ち、自らのニーズからシーズを生み出し、それに対するお客様の反応を真摯に受け止めることが必要なのではないでしょうか?

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