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AHPコンピテンシーコラム第124話

  • 靖 伊藤
  • 2024年9月6日
  • 読了時間: 2分

今回は2つのタイプの「他者育成力」のコンピテンシーの発揮していた上司のお話をしたいと思います。

A課長は良く気が付くタイプで、部下のPさんの日頃の言動に注意を払っていて、彼がミスをしたり、遅れていたりすると、速やかに彼を呼んで、話を聴き、今後どのように対応していくかを、指示するタイプでした。一方、B課長も、同様によく気が付くタイプで、部下のQさんの日頃の言動に注意を払っていました。ただ、B課長はある程度Qさんのやりたいようにやらせておき、「これはどうしても駄目だ。」と考えた段階で、Qさんとじっくり話をして、Qさんの意図を確認した上で、自らの指示は後回しにして、Qさんとしてどのようにすべきかを聴き出し、自分の考えと少しズレがあっても、Qさんの言った事をさせていました。この結果、普段はPさんの方がQさんより仕事が早く出来、廻りの評価もAさんの方が高い状態でした。ところが、Pさんに大トラブルが発生した時、偶々、A課長が出張中で連絡が取れず、結局、PさんはA課長に連絡が取れるまで有効な対策が取れず、大きなビジネスをもう少しでお釈迦にしてしまうところでした。一方、Qさんも同じように、B課長が出張中に大きなトラブルに見舞われましたが、速やかに対処する事ができました。

それでは、この2人の対応の差が何故生まれたのか考えてみたいと思います。Pさんはいつもよく出来るA課長の下で、きちんとした指示を受けて、それに忠実に業務に勤しんでいた為、一人で問題に対処する訓練があまりできておらず、対策についても通常はすぐにA課長から指示がある為、考える習慣があまり付いていなかったのではないかと考えられます。一方、QさんはB課長から常時引き出しを受ける事に慣れており、B課長が不在でも、「こういう時にB課長は自分のどのように問いかけるだろうか?」と自問自答し、それに答えを出す形で対策を講じる事ができたのではないかと考えます。A課長がどちらかと言うと、仕事の成果を重視したのに対し、B課長は、人の成長を重視した結果ではないかと考える次第です。マネージャーの役割として、成果を上げる事も重要ですが、それと同様に人を育てる事が組織として成果を上げる事と考え、B課長の発揮した「他者育成力」のコンピテンシーを意識する事が必要なのではないでしょうか?

 
 
 

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