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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第126話

今回は調剤薬局に勤務する薬剤師さんのコンピテンシーについて考えてみたいと思います。

以前、調剤薬局の薬剤師さんと言えば、きちんと仕事をしてくれますが、殆ど愛想はなく、少し冷たいイメージを持っていた方が多いかと思います。最近少しご無沙汰していた調剤薬局に行くとそのイメージが大きく変わっていました。その調剤薬局は以前から顧客対応は良かったのですが、先日、薬を貰いに行って、薬剤師さんの動きを観察していますと、以前にはなかった行動が見られるようになっていました。それは、たとえ自分の作業をしていても、お客様が入ってくると、そちらの方を見て少し微笑みを浮かべながら、「いらっしゃいませ」と声掛けを行い、受付から出て処方箋を取りに行くという行動でした。声掛けと声出しの違いにつきましては、以前のコラムで書いた事がありますが、今回の薬剤師さんの対応は声掛けそのものでした。また、受付から出て処方箋を取りに行くという行動は、お年寄りや小さな子供のように、どのようにしたらいいのか分からない、或いはその行動を取ることに少し遠慮がある人にとっては非常にありがたい行動であり、明らかに顧客志向力の表れであると考えます。また、新しいお客様に問診票を書いて頂くときに、座っているお客様のそばへ行き、膝を曲げてお客様より低い目線から話していました。低い目線から話すことにより、お客様は話すことに対する抵抗が少なくなり、言いにくい事も話して頂く事が可能になっており、対人理解力で必要とされる質問力に付随する相手から引き出す為の環境づくりであると考えます。

最近は、政府による後発医薬品の推奨などにより、調剤薬局も厳しい経営環境に置かれており、それを生き残っていくためには、他のサービス業と同様に、企業の将来のカギを握る薬剤師さんたちが、従来から有していた徹底確認力に加え、高いレベルの顧客思考力や対人理解力を発揮していく事が求められている事を示唆していると考える次第です。

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