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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第128話

今回は前回に引き続き、二つ目の余り物ビジネス「月極駐車場の活用」についてお話したいと思います。

散歩をしていると、時々長い間契約がされていないと思われる月極駐車場を見かけるときがあります。都市部だと月額2万円くらいはするので駐車場の所有者にとっては大きな損失です。私が初めて車を購入した1991年頃には駐車場が少なく苦労したものですが、最近は若者の車離れもあり、なかなか新しい借主が現れません。そこに目を付けたビジネスが“あきっぱ”というビジネスです。これは駐車場を1台単位で借りて1日単位で貸すというビジネスで、駐車料金は1日1千円、“あきっぱ”を運営する会社は貸主から30%の手数料を頂くと言うものです。これは必ずしもきちんとした駐車場だけでなく、一戸建ての家の私有地のスペースを貸し出す事も可能で、例えば、一緒に住んでいた息子夫婦が別に暮らす為に不要になった息子夫婦の駐車スペースを貸し出すことで小遣い稼ぎになっている方もいるとのことです。

それではこのビジネスを考案した人のコンピテンシーを考えてみたいと思います。

このケースでは、自社の余り物ではなく、世の中の余り物に目を付けそれの活用を考えています。この場合も、前回と同様に、「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である分析的思考力と考えます。このケースにおける「自分の業務環境」は新事業をおこすという環境と捉える事ができると思います。このビジネスの構築においては、パーキングという経済環境で貸主と借主の双方のニーズを察知し実現した事から、「社会全体や業界全体の動き、変化を正確に分析・把握し、業界の中でも大きな影響を与えるような実行可能な独自の理論、方策、モデル等を構築している」レベルであると考えます。

また、このビジネスを構築するにあたり、新たな市場において、貸主と借主の潜在的ニーズを収集した事は「あらゆる情報源や情報ルートを自ら開拓し、仕事で必要となる情報を誰よりも早く正確に、且つ幅広く集める能力」である情報探求力が発揮されていたと考えます。この場合は、対象地域が全国に及んでいることから、少なくとも「情報が必要な際は、自分の周りだけでなく、様々なところに積極的にコンタクトし、幅広く正確な情報を入手している。」のレベルが発揮されたものと考えます。

次回は三つ目の余り物ビジネス、余った薬を再配分する“わかばクラブ”についてお話したいと思います。

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