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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第128話

以前、朝の情報番組“がっちりマンデー”で“余り物ビジネス”がテーマに取り上げられていました。“余り物ビジネス”は社内外であまっているものを有効に活用するビジネスです。これが当たり前の様ですが、実は意外と出来ていないのが現状で、その中で取り上げられた3つのビジネスをビジネス化した人のコンピテンシーを考えてみました。

一つ目はバイク便ビジネスの会社の例です。バイク便は一時、重宝がられていましたが、最近ではインターネットの普及により、書類を運ぶ仕事が激減し、配送員が余っていたと言う事です。そこでこの配送員をどのように活用するかという事を検討した結果、高級料亭などのフードビジネスの宅配の請負を開始し売上を上げているそうです。これを活用することで、料亭としても経費が約10分の1になるとのことです。このビジネスの躍進はただ単に余った人間を回したというものではなく、バイク便が有していたノウハウを余剰人員が有していた事にあります。都市部で食べ物の宅配をする場合、その店への経路は勿論のこと、ビルに辿りついても、注文した担当部署に辿りつく為に、様々な関門があります。バイク便ビジネスはこれまでの経験を集約したノウハウを活かし、いち早く注文したお客様に商品を届ける事ができる強みを有し、それをフード宅配ビジネスに適用したと言えると考えます。

それではこのビジネスを考案した人が発揮した様々なコンピテンシーを考えてみたいと思います。先ず、自社の業績が下がった時に、自社の現状を明確に把握し、その中から強みを特定し、その強みを次のビジネスに適用した事です。これは、「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である分析的思考力と考えます。業績不振の際には強みと弱みを現場、現物、現実の三元主義の立場で捉える事が重要ですが、このビジネスの構築においては、自社の強みを特定するだけでなく、その強みに対する潜在的ニーズが高級料亭のフード宅配サービスにある事を察知し対応したことから、「社会全体や業界全体の動き、変化を正確に分析・把握し、業界の中でも大きな影響を与えるような実行可能な独自の理論、方策、モデル等を構築している」レベルであると考えます。

次に、上記にも絡みますが、高級料亭の潜在的ニーズであるフード宅配サービスの経費節減に対応した事で、これは「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」である顧客志向力が発揮されていたと考えます。この場合は、本業のバイク便ビジネス等で顧客に多く接する中でこのニーズを感じ取ったことから、「直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化や兆候を敏感に感じ取り、その変化や兆候への対応を継続的に考案し自ら実行している」のレベルが発揮されたものと考えます。

次回は二つ目の余り物ビジネス「月極駐車場の活用」についてお話したいと思います。

 

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