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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第131話

以前は日本経済が好調になれば、全ての企業がその恩恵に与ることができましたが、最近は必ずしもそうではないようです。よって、各企業の経営者は色々な工夫をして経済の好調を自社への追い風に変えていっています。以前、テレビで放映された2.5等地(2等地と3等地の間)を活用したビジネスもその一つだと思います。ただ、彼らの話を聴くと皆が同じ事を行っているわけではありません。今回はその一つに焦点を当てて、コンピテンシーを考察してみたいと思います。

それは石神井公園駅近くにあるピザのお店です。この店のシェフはピザの世界大会で優勝した実力者ですが、それだけでは中々お客様を呼び込む事は難しい状況です。そこで彼が打った施策が2つありました。一つは立地です。一般的にフードビジネスは立地が命と言われており、1等地に店を構えるのとそうでないのとは売上高が相当異なります。ただ、1等地では家賃が高すぎて利益が上がりにくい点が難点です。そこで、彼は商店街とは反対側にお店を構えました。そこは地域の人たちの抜け道になっており、多くの人が商店街に向かう為には彼の店の近くを通ることになり、奥様を引き付ける事ができました。もう一つは宣伝です。噂の発信基地となりそうな美容室などを重点的に廻り、ビラを置かせてもらい、その際にピザの世界大会での優勝についても話していきました。その結果、開店当初から多くのお客様に来店頂いているとのことです。

ここで、彼のコンピテンシーを考察してみたいと思います。

先ず、最初に、奥様をターゲットに据えて、ターゲット顧客の流れを分析し、集積すると思われるところに立地を決めたことから「状況や環境の分析から表面的なものではなく、潜在的なものをも見つけ出し、実行可能な対応策を自分で考え出す」レベルの分析的思考能力が発揮されていると考えます。また、顧客へのアプローチについても、ターゲット顧客の習性を理解して、奥様方が情報源とする美容室等を中心にビラを配布する等の施策を打った事も同じレベルの分析的思考力が発揮されていると考えます。その際に、自分の強みである「ビザ世界大会での優勝」を付け加えることで、お客様の関心にインパクトを与えた事は対人影響力の表れであると考えます。

上述のコンピテンシーは整理してみると、よく発揮されているものですが、起業などの際にこれを地道に実行していく裏には、「自分の目標の達成のためには、いかなる困難があっても諦めることなく、あらゆる手段を駆使して達成に向けて取り組んでいる」レベルの達成志向力が発揮されている事が考えられます。

 

 

 

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