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AHPコンピテンシーコラム第134話

靖 伊藤

先日、ホットプレートを買いに2つの家電量販店を訪ねたところ、対象的な2人の店員と遭遇しました。始めに訪れたA店で、欲しいと思ったホットプレートの在庫が見当たらないので、店員を呼んだところ、一人の店員が少しゆっくりとこちらにやってきました。彼に「見たところ、在庫がないようだけれど」と話したところ、「ちょっと調べてきます」と言って店の奥に行き、暫くして帰ってきて、「在庫はありません。取り寄せには2~3日かかります」と答えました。私は「今日なかったら意味がないな」と告げると、「そうですか」と言ってそのまま元いたところへ戻って行きました。そこで、次のB店に行き、そこで同じものを見つけましたが、値段がA店に比べてやや高めでしたので、少し離れたところにいた店員を呼んだところ、さっと来てくれたので、「A店で同じ商品を見たが、値段が幾ら幾ら高いので、値引きできないか?また、その店なら、千円の割引券を持っているがと言ったところ、「暫くお待ち下さい。」と言って、店の奥に行き、暫くすると帰ってきて、値段の差に千円を加えたものを値引きしてくれました。

この値引きは店の方針に則ったものと思いますが、ここで着目したのは、A店とB店の行動です。A店の店員は、私の呼びかけに対して、少しのんびりとした行動であったのに対して、B店の店員はきびきびした行動に見えました。また、A店の店員はこちらの直接的な質問に対して答えることと『取り寄せに2~3日掛る』という自分達の事情を説明してくれましたが、それ以上にこちらの要望を訊いたり、それに対して対応しようとしたりする態度は見られませんでした。一方、B店の店員は、こちらの話を十分に聴き、最後に付け加えとして話した1000円の割引券の話も含めた値引き価格を提示してくれました。勿論、私がB店で購入したのは言うまでもありません

この2人の店員の行動を「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」である顧客志向性のコンピテンシーで見ると、A店の店員が「顧客の言葉だけでなく、様子や雰囲気から、相手が求めているものや不満な点を敏感に察知し、対応している」レベルであるのに対して、B店の店員が「顧客からの直接、要求されたことに対しては対応しているが、自主的に顧客満足につながるようなことを察知したり、研究したり、対応することはない」レベルにあると考えられます。今回の出来事が店全体を反映したものではないとは思いますが、一人の店員の行動により、今迄、殆どの家電製品をA店で購入していた一人の顧客を、今後はB店を優先しようと言う気にさせた事を真摯に捉え、コンピテンシーの共有を図る事が重要と考えた次第です。

 

 

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