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AHPコンピテンシーコラム第135話

靖 伊藤

永年に亘り、食品に関する偽称や検査偽装等、様々な不祥事が世間を騒がしており、コンプライアンスの重要性がクローズアップされています。これらの事態に危機感を抱いた企業ではコンプライアンス研修が実施されていますが、コンプライアンスの意味が本当に理解され、企業活動における個人の行動において繁栄されているかどうかは疑問です。

そこで今回は、コンプライアンスに繋がるコンピテンシーにスポットを当ててみたいと思います。

コンプライアンスに繋がるコンピテンシーは、『秩序、クオリティ、正確性への関心』(Concern for Order and Quality)であり、これは「倫理的原則や企業の価値観に従っての行動する、つまり秩序に対応するとともに、仕事を進める上で洩れやミスや決められた基準からのズレを徹底的にチェック、確認し、それらを抜本的に解決したり、未然発生防止策を講じたりする品質や正確性に対応する特性」です。このコンピテンシーは、業務活動において発揮されることで、企業を危機にさらすことを避けることで貢献することになります。このコンピテンシーに基づく行動は、業務活動において発揮されることは勿論ですが、普段の何気ない行動においても見ることができます。コンプライアンスで、最も基本となるのは約束の厳守です。企業における約束とは就業規則であり、社会生活においては、日本が法治国家であることを考えると、法律を守るということです。ここれはごく当たり前に聞こえますがが、現状としては、これらのルールが業務や業務外の活動において本当に守られているとは言えるでしょうか?例えば、自転車や歩行者による信号無視、携帯電話やスマホを見ながらの自転車運転(最近では、自動車運転で事故が発生しています)、路上喫煙禁止地域における禁煙、たばこのポイ捨て等、事例を挙げると枚挙にいとまがありません。

これらの事象は些細なことだと考える方もいると思いますが、「これくらいは問題ないだろう」と安易に行った反コンプライアンス行動が大事故を惹き起こしたり、老舗を消滅させてしまったりした例もたくさん見られます。『秩序、クオリティ、正確性への関心』のコンピテンシーの高い人は些細な事柄にも細心の注意を払い、それに沿った行動を励行しています。最近では、これを重視した企業においては、新入社員教育の一環として、これらの事を明確に伝え、そのような行動を禁止している企業が増加しています。

これからは、企業内において真の意味での『秩序、クオリティ、正確性への関心』のコンピテンシーの理解と全社員がそれに基づいた行動を当たり前に励行する風土づくりが必要と言えるのではないでしょうか。

 

 
 
 

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