top of page

AHPコンピテンシーコラム第138話

靖 伊藤

以前、ある情報番組で高級スーパーが扱われていました。このスーパーは品揃えのよさ、レジの手際の良さに加え、バイヤーの買い付け力に支えられて、躍進を続けているとのことです。

今回はそのうち、グロサリー担当のバイヤーA氏にスポットを当ててみたいと思います。

番組のスタッフがA氏のいりこの買い付けに同行したところ、A氏はいりこの買い付けを終えた後、取引先においてあったひじきを見つけ、取引先の社長にお願いして、ひじきの生産者のところへ船で向かいました。そこでは、対応してくれた全ての人たちに様々な質問をかけ、訊き出した事を全てメモにまとめていました。訊き出した内容の中には、ひじきの食べ方として、てんぷらにして食べると言うものもありました。番組のスタッフが後で生産者の方にA氏の感想を訊いたところ、「しつこい」というもので、これはその土地の方言で、「熱心」という意味だそうです。

さて、ここでこのA氏の発揮したコンピテンシーを考えてみたいと思います。先ず、一つは買い付けに行ったいりこだけでなく、そこにあったひじきにも着眼した事です。通常、出来ると言われる営業マンは、客先訪問の際に、視野を広くして、相手の話を良く聴き、直接関係がないものでもそこにあるものをよく観察をして、それが今後のビジネスに活用できないかを考察しています。ここでは、「あらゆる情報源や情報ルートを自ら開拓し、仕事で必要となる情報を誰よりも早く正確に、且つ幅広く集める能力」である情報収集力で「情報が必要な際は、自分の周りだけでなく、様々なところに積極的にコンタクトし、幅広く正確な情報を入手している」レベルの発揮が見られます。また、その際に、視野を広く持ち、直接関係ないようなものでも、ビジネスに影響を与える可能性のあるものを見逃していない点が注目されます。もう一つ注目すべきは、生産者の方から「しつこい」と言われた「質問力」です。「質問力」については今までも何度もこのコラムで取り上げましたが、対人理解力の大きな要素であると共に、情報を収集する際に、最初に相手が話していた事を深堀することで、実際にそこで行なわれている状況、このケースでは言いますと、このひじきの成分や現地で美味しく食べられている食べ方を訊き出す事が出来ています。

A氏のようなバイヤーが会社を支えている人材の育成は今後の企業の重要な課題になると考えた次第です。

 
 
 

最新記事

すべて表示

AHPコンピテンシーコラム第179話

4月には新しい年度を迎えるため、企業や各種団体では、日本の動静だけでなく、世界の動静を見据えて、戦略を立てていることと考えます。戦略を立てる際に必要となるのが、現状の分析です。新年の経済番組で、色々な専門家が今後の見通しを述べていますが、その根拠となるのが、現状の分析で、聴...

AHPコンピテンシーコラム第178話

前回は「批判的思考能力」についてお話しすると共に、ロジカルシンキングの重要な要素である「論拠」と「根拠」と「結論」の繋がりについてお話ししましたが、「論拠」を理解する際に重要なのが異文化理解力です。 以前、『今月の一冊』で紹介しました『異文化理解力』(エリン・メイヤー氏著、...

AHPコンピテンシーコラム第177話

前回は「自己責任」とロジカルシンキングの繋がりについてお話ししましたので、今回は、もう一つの「批判的思考能力」についてお話ししたいと思います。 「批判的思考能力」は相手の言うことを鵜呑みにしない能力です。これは、相手が嘘をつくからというのではありません。国によっては、宗教な...

Bình luận


  • Facebookの社会的なアイコン
  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

©2022 by アイ人財企画。Wix.com で作成されました。

bottom of page