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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第14話


日常で気がついたコンピテンシー。今回はテレビ番組で時折放映されていた「販売の達人」というタイトルの番組の中で紹介されたマネキンさんお話です。

「販売の達人」という番組は、例えば、車のセールスマンがどのようにして高い業績を上げているかを克明に追っている番組です。ここで取り上げるマネキンさんという仕事は、スーパーマーケット等に派遣されて店頭販売をする人で、今回は餃子を売るベテラン女性と新米女性を取り上げています。マネキンさんたちは現場に着くと、まず、商品についての説明を受けますが、その際、ベテラン女性は色々なポイントを捉えて質問をしています。また、仕事をするにあたって「時間内に完売」と言う目標を掲げています。そして、売場に着き、お客様がいらっしゃると、最初のうちは声をかけずに様子を見ていて、興味を示したのを見ると声をかけていきます。声のかけ方も、主婦には「夏バテに効きますよ」とか、お父さんには「お酒のおつまみにどうですか?」とか多種多様です。一方の新米女性は、お客様が近づくとすぐ声をかけてしまい、逃げられてしまっています。また、声のかけ方もいつも同じです。試食の餃子の準備も、ベテラン女性は焼きすぎもせず、足らなくなることもなく、いつでも暖かい餃子を試食出来るようにしていますが、新米女性はお客さんが来たときに餃子が冷えていたり、足らなくなったりしています。また、ベテラン女性は途中に、店内で野菜を買ってきて水餃子を作っています。餃子の別の食べ方を提案しているのです。

結果はいうまでもありません。ベテラン女性は時間を待たずして完売、一方、新米女性は売れ残ってしまいました。

これを見るとベテラン女性がすごいということは一目瞭然ですが、どういう点がすごいのでしょうか?まず、お客様へのアプローチ。相手が興味を示したことを察知してから声をかけています。これは、声にはならない動作から相手の気持ちを理解するという「対人理解力」を発揮しています。次にお客さまに対する話し掛け方で、相手によって対応を変えるという「対人影響力」を発揮しています。そしてこれらの行動の全てを支えているのは、「絶対に完売する」という「達成志向力」なのです。

このように良い成績を残す人は、お話したような高いコンピテンシーを随所で発揮しているのです。良い成績を上げたい人はただ、人の真似をするのではなく、高いコンピテンシーを発揮する人たちが、どのように考えて、どのように行動しているのかということをコンピテンシーの視点で理解して、自分の考えていることや行動と比較した上で、それを自分の行動に置き換えて実際に行動してみることが必要なのでしょう?

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