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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第142話

以前、テレビの情報番組でイベント企画に関する特集が組まれていました。今回は、その番組に登場した物産展の仕掛け人Mさんに焦点を当ててみました。

物産展といえば、第一に、デパートで行われているものを想像しますが、今回の物産展は地方のスーパーマーケットにおける物産展です。Mさんは地方のスーパーで周り30km以内に百貨店などがない中小のスーパーマーケットを顧客としています。というのは、地方のスーパーマーケットはデパートと異なり、物産展の専任者がいないからです。Mさんの会社は、物産展の企画実行を外部から支援しているのです。これらの物産展で大切なのは、出店者にやる気になってもらうことですが、出店者を悩ませている問題は、物産展に参加するための費用と時間でした。物産展の参加者はいろいろな地域から参加していますが、その為の交通費や運搬費が馬鹿になりません。そこでMさんが考えたのは、これらの負担を軽減するために、一旦、1つのイベントが終わると次のところに移っていくというキャラバン方式でした。Aさんは、様々な中小のスーパーマーケットの要望をもとに物産展の企画を行う際に、出店者の負担をできるだけ少なくするため、移動地などを考慮して年間を通して物産キャラバン隊と企画しているというものです。これにより、スーパーマーケットは集客ができ、出展側は効率よく売り上げを上げることができ、Aさんの会社も利益が上がるという3社のメリットにつながっているそうです。

ここでAさんが発揮しているコンピテンシーを考察してみたいと思います。まず、自分の業務環境において、顧客を集客したいけれども、専任者がいない地方のスーパーマーケットのニーズを把握して物産展を提供していますので、これは、「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」である顧客志向力の「直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化や兆候を敏感に感じ取り、その変化や兆候への対応を継続的に考案し自ら実行している。」のレベルが発揮されていると考えますと、また、出店者のやる気を上げるために、キャラバン方式を考案し、実施していることは「現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である『分析的思考力』の「状況や環境の分析から表面的なものではなく、潜在的なものをも見つけ出し、実行可能な対応策を自分で考え出している。」の発揮であるとも共に、これが出店者のモチベーションアップにつながっていることから、「社内外の関係者に対して、あらゆる説明の方法やツールを駆使しながら、こちらの考えている通りに相手が納得し、動いてもらうように影響を与えていく能力」である対人影響力の「理論武装、説明資料などを準備するだけでなく、相手の人間的な特性を敏感に見抜き、その特性に合わせた説得方法を事前に綿密に準備をした上で、様々な手管を用いて、相手が聞き入れるまで諦めずに説得を続けている」レベルの発揮が見られるのではないでしょうか?

 

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