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AHPコンピテンシーコラム第143話

靖 伊藤

近年、女性による創業が増えています。その中には、それまでの経験を活かし、女性ならではの視点で、好業績を上げている会社があります。今回は、先日、テレビの情報番組で取り上げられた学生服のリサイクルを営む女性経営者Kさんにフォーカスを当ててみました。

この会社は子供が大きくなったり、卒業したりしたため、不要になった学生服を買い取り、クリーニングや修理を行った上で、新品価格の約10分の1の値段で販売をしています。

Kさんは以前保険の外交員をしていたそうです。創業のきっかけは、3人いた子供が大きくなると、制服を買い替えないといけなくなり、財布が傷んだことだったといいます。彼女は服のリサイクルショップを回っていろいろ探してみましたが、適当なものが見つからず、それではやってみようという気持ちになったといいます。創業の際に、最も苦労したのは、値付けだったといいます。学生服の値段はまちまちで、どれくらいの値段をつけたら売れるのかに悩み、3年をかけていろいろなお母さん方に話を聞き、最終的な値付けを起こったということです、その結果、今は本店と支店の2つの店を経営していますが、この話を聞きつけた日本各地の主婦から近くに出店してほしいという依頼が殺到しているそうです。

ここでKさんが発揮しているコンピテンシーを考察してみたいと思います。まず、自分が困っている問題から学生服のリサイクルという分野に目をつけ、創業したのは、「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である分析的思考力の表れであり、「状況や環境の分析から表面的なものではなく、潜在的なものをも見つけ出し、実行可能な対応策を自分で考え出している」レベルが発揮されていると考えます。そして、創業に際し、3年をかけて以前の業務で培った能力とノウハウを駆使して情報収集を行い、的確な値付けを行ったことは、「あらゆる情報源や情報ルートを自ら開拓し、仕事で必要となる情報を誰よりも早く正確に、且つ幅広く集める能力」である情報探求力の「情報が必要な際は、自分の周りだけでなく、様々なところに積極的にコンタクトし、幅広く正確な情報を入手している」レベルと「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」である顧客志向力の「今まで存在しなかった市場のニーズを自ら創造するような商品やサービスのあり方を考案し、自ら実行している」レベルが発揮されていると考えます。

困ったときに、それを嘆いたり、愚痴を言ったりするのではなく、それをヒントとして新しいビジネスにつないでいくことが全ての創業の原点と痛感した次第です。

 

 
 
 

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