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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第144話

最近の小売業界や外食産業において、アルバイトは欠かすことのできない戦力になっています。以前は「アルバイトだから仕方がない」ということがよく言われていましたが、今ではアルバイトの人がその企業(店)の売り上げを支えてことがあります。以前、テレビの情報番組で、ピザのデリバリーサービスで配達のスタッフが取り上げられていましたので、今回はそのスタッフSさんにフォーカスを当ててみました。

Sさんはアルバイトを始めて2年で、最初は先輩に言われたルートでデリバリーを行っており、基本的に大きな道を使っていましたが、このルートでは信号が多く、時間によっては、渋滞に巻き込まれることがありました。そこで別の脇道を調べて走ってみると、信号の数が3つほどを少なく、時間が短縮することがわかりました。これによって、例えば、今まで11分ちょっとかかっていたところを8分強で行くことがわかりました。ただ、これも常にそうではなく、時間帯によっては、脇道も人の行き来が多く、飛び出しなどがあり、その時間帯では大きな通りを通る方が良いこともわかり、Sさんはその店で最も配達が早いことが評価されるようになり、自分としても仕事が楽しくなったそうです。

ここでSさんが発揮しているコンピテンシーを考察してみたいと思います。まず、自分の業務において、まずは先輩の指示に従って業務を行い、その結果に甘んずることなく、より早くいくためのルートを探し出し、時間帯による最短ルートを見つけ出して成果を上げています。ここで確認できるコンピテンシーとしては、「自分自身や組織全体のチャレンジングな目標を、自ら設定し、それを達成するまであらゆる手段を駆使して取り組み、目標を達成しても更に高いレベルを狙うなど、常に高い成果を生み出そうとする能力」である達成志向力が挙げられます。はじめの段階は、「与えられた目標の達成に向けて努力している」レベルですが、それに甘んずることなく、新たなルートを見つけ出し時間を短縮したのは、「自分の達成目標を自分で正確に理解し、その達成に向けて努力している」レベルが発揮されていると考えます。また、その為、新たなルートを探し出すために、「あらゆる情報源や情報ルートを自ら開拓し、仕事で必要となる情報を誰よりも早く正確に、且つ幅広く集める能力」である情報探求力の「情報が必要な際は、自分の周りだけでなく、様々なところに積極的にコンタクトし、幅広く正確な情報を入手している」レベルと「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である分析的思考力の「情報やデータをただ分析するだけでなく、それに基づく洩れダブりのない原因究明を行い実行可能な対応策を自らで考え出している」レベルが発揮されていると考えます。

このように、言われたことをただそのままやるだけでなく、一旦やってみて、そのやり方を振り返り、新たな方法で高いレベルの成果を上げていることが自らのモチベーションアップにもつながっていくことを実感した次第です。

 

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