top of page

AHPコンピテンシーコラム第149話

靖 伊藤

人口減少により、都市部における働き手の需給のアンバランスが生じており、特に小売業や飲食業では人材の確保に躍起になっています。それらの大半はパートやアルバイトですが、彼らの応対の仕方がその店の評判に大きな影響を与えています。特に、コンビニなどでは同じ商品を贖っているケースが大半ですので、同じ商品なら応対の良い店を選んでいるのが現状でしょう。

コンビニの店員さんでも色々な人が見られます。以前利用した、都内の2つのコンビニで大きく対応が異なりましたので、その比較をしてみたいと思います。

まず一つ目のコンビニの店員さんは、結構混んでいた為、少し待つことになりましたが、順番が回ってきたとき、最初にこちらの顔を見て、少し微笑みながらも「お待たせして申し訳ありません」の言葉から始まりました。私が購入したのは、紙パックの飲料とヨーグルトでしたが、「ストローとスプーンは如何でしょうか?」と尋ねてくれました。これはごく当たり前に思えるかもしれませんが、スプーンは言わないと入れてもらえないことがあったり、逆にストローは何も言わずに入れてあったリすることがままあります。この店員さんは自動的に決められたことをしたのではなく、相手にそれを確認した上で、していたのではないかと思います。最後まで笑顔で対応してもらえ、少し幸せ気分でお店を出ることが出来ました。

2つ目のコンビニの店員さんは、最初からぶっきらぼうな感じでした。その時は、紙パックの飲料だけを購入し、Tポイントカードを出したところ、「200円以下は使えません」と突き放したように言われました。これもまた普通といえば普通ですが、言われた方の立場では、何か気まずい気持ちを持ちました。その結果、そのコンビニは他の店舗でも敬遠するようになりました。

この2人の店員さんの差は、顧客志向力と対人理解力のコンピテンシーの差にあると考えます。前者がこちらの顔を見ながら、終始笑顔で、こちらの要望を引き出して対応してくれたのは、「自ら、顧客の満足度や要求を常にモニターし、不満な点については、顧客からその理由を聞き出し、対応している」だけでなく、「顧客の言葉だけでなく、様子や雰囲気から、相手が求めているものや不満な点を敏感に察知し、対応している」レベルの『顧客志向力』と「相手の伝えようとしていることは、その言葉の内容だけでなく、その時の様子や雰囲気から関連する相手の感情も含めて理解している」レベルの『対人理解力』が発揮されていたのに対し、後者は自分の発した言葉や雰囲気が相手に対してどのような影響を与えているかを認識しておらず、これは「相手の伝えようとしていることは、その言葉の内容だけでなく、その時の様子や雰囲気から関連する相手の感情も含めて理解している」レベル『対人理解力が発揮されていないと考えられます。また、『顧客志向力』も「顧客からの直接、要求されたことに対しては対応しているが、自主的に顧客満足につながるようなことを察知したり、研究したり、対応することはない」レベルか、それ以下であったと考えます。

コンビニ激戦の今、人材が不足しているとはいえ、前者レベルの対応ができる人を確保することが店の業績に大きな影響を与えるのではないでしょうか?

閲覧数:0回0件のコメント

最新記事

すべて表示

AHPコンピテンシーコラム第169話

団塊の世代から我々の世代にかけての一つの大きな課題は定年後の再就職。この再就職に際しては、もちろん『専門性』が求められますが、それ以上に求められるのが、『コミュニケーション能力』と『問題解決能力』です。また『専門性』はただ特定の分野の知識を有しているだけでなく、「自分の専門...

AHPコンピテンシーコラム第168話

論理的思考の4つの思考法の中に、『ゼロベース思考』という思考法があります。これは既成概念を全て取り払い、白紙の状態にして、物事を考える思考法です。人は経験により、様々な知識を習得し、それらを用いて問題を解決しています。しかしながら、最近の世の中の変化は今までの変化の延長線上...

AHPコンピテンシーコラム第167話

今まで様々なコンピテンシーに基づく身近な人の行動や優れた人の行動をお話ししてきました。これらの行動は、例えば、日本経済新聞の『私の履歴書』などにも記述されて含まれていますが、一般的には、これをコンピテンシーに基づく行動としてみていないことが多く、ただ「すごい人だ」と考えてい...

Comments


  • Facebookの社会的なアイコン
  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

©2022 by アイ人財企画。Wix.com で作成されました。

bottom of page