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AHPコンピテンシーコラム第151話

靖 伊藤

今回は以前、朝の情報番組で取り上げられ電話情報交換士のAさんにスポットを当ててみたいと思います。

Aさんは某百貨店の電話交換士です。電話交換士というと、お客様からの電話を的確にかつ迅速に対応することが求められますが、Aさんの行動を見ていると、まず、電話がかかってくると、何も見ずに電話を取り次いでいます。社内にある約1000の内線番号を全て暗記しているとのことです。それだけでありません、同じ電話交換士がお客様から受けた質問に答えられない質問、この時はお客様から人形の形をしてケーキの売り場はどこかということでしたが、これに対してもいとも簡単に答えていました。勿論、店内の売り場は変動がありますので、Aさんは、週に1回は店内を巡り、これらの情報を刷新しているとのことです。また、ある時、お客様から近くのラーメン屋さんで美味しいところはどこという質問があったそうです。これに対して、Aさんは「私の好みはこれこれです、それ以外にこのようなお店もあります・」と答えたとのこと。このとき出演したこの百貨店の社長曰く、「百貨店は地元との繋がりが大事なので、このような情報を把握しておくことは大事である」という会社の方針をきちんと理解して実践することで、お客様の信頼を得ているようです。

ここで、Aさんのコンピテンシーを考察してみたいと思います。

まず、会社の方針をきちんと理解し、その為に情報の刷新を行い、それによりお客様や同僚の信頼を得ていることは、「自分自身や組織全体のチャレンジングな目標を、自ら設定し、それを達成するまであらゆる手段を駆使して取り組み、目標を達成しても更に高いレベルを狙うなど、常に高い成果を生み出そうとする能力」である『達成志向力』で、「常にチャレンジングで且つ現実的な目標を設定し、いかなる困難があっても諦めることなく、あらゆる手段を駆使して達成に向けて取り組んでいる」のレベルが発揮されていると考えます。

また、店内の内線番号や商品の売り場をすべて把握し、それをお客様や同僚に提供したり、その為に週1回、店内を巡り情報を刷新していることは、「自分の専門的な知識やスキルを自ら積極的に拡大し、それを仕事に活用したり、周囲の人たちにも広めたりする能力」である『専門知識拡大活用力』で、「特定領域において、独自の専門的な理論を構築し、社内外からその領域の専門家であると認識されている専門性を身に付け実際に仕事で活用できている」レベルが発揮されていると考えます。

どのような業務であったも、その業務に対する会社の期待を正確に理解し、その為に色々な努力を行う人材の存在は最終的に企業業績を大きく左右するのではないでしょうか?

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