AHPコンピテンシーコラム第158話
- 靖 伊藤
- 1月7日
- 読了時間: 3分
日本経済は第2次産業から第3次産業に基軸が移り、色々な新しいビジネスが生み出されています。特に、働き方改革の一つの軸となる生産性の向上のために雑用を何かに任せるということで、それに目を付けたのが『雑用ビジネス』です。『雑用ビジネス』というと、まず頭に浮かぶのは、単純作業をロボットにまかせるというもので、ロボットは人間と異なり何時間でも休みなく作業を続けることが出来ることや、人間が行うと長時間かかる作業を瞬時に済ませることが出来る点が利点で、最近重宝されているようです。しかし、その為にはプログラミングや装置の製造のためにある程度の投資が必要になるため、小規模のビジネスでは、そのようなものに投資が出来ないことが多々あります。これに目をつけて人を使った『雑用ビジネス』を開発し、売り上げを伸ばしている会社が先日の情報番組で紹介されていました。この会社の社長は、以前、システムエンジニアとして、『雑用ビジネス』等にも用いられるシステム開発に従事していましたが、小規模ビジネスなどではシステム開発に投資することが出来ず、多くのお客様から聞いた「何か生産性が上げられる方法はないか」との声に対応する形でこのビジネスを思い立ったと言います。
ここで、この社長のコンピテンシーを考えてみたいと思います。
まず、考えられるのは、「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」である『顧客志向力』のコンピテンシーです。システムエンジニアとして、システム開発のためにお客様と対峙する際に、何気ないお客様との会話からお客様の問題(お困りごと)を把握し、それをこのビジネスの開発に繋げたのは、「直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化や兆候を敏感に感じ取り、その変化や兆候への対応を継続的に考案し自ら実行している」レベルの発揮であると考えられます。また、この行動には、「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である『分析的思考力』も見られ、少なくとも「状況や環境の分析から表面的なものではなく、潜在的なものをも見つけ出し、実行可能な対応策を自分で考え出している」レベルのコンピテンシーが発揮されていると考えられます。また、システムエンジニアとしての活動の中で、このビジネスの基を見出したのは、「あらゆる情報源や情報ルートを自ら開拓し、仕事で必要となる情報を誰よりも早く正確に、且つ幅広く集める能力」である『情報探求力』の表れであり、「独自の情報収集方法、プロセスや情報網を構築し、それらにより、貴重な情報をも迅速且つ正確に収集している」のレベルが発揮されていたものと考えられます。
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