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AHPコンピテンシーコラム第160話

靖 伊藤

以前のコラムでは、グローバル人材は「気が利く人」であることをお話ししました。

「気が利く人」とは「相手と自分の文化の違いを理解して、皆が心地よいパフォーマンスを出せる環境を作り出すことができる」人を指します。ただ単に先回りしてどんどんで仕事を先に進めていく人を「気が利く」と思っている場合がありますが、このような行動は、必ずしも皆が心地よいパフォーマンスを出せる環境を作り出している訳ではありません。

以前のNHKの朝の連続テレビ小説において、比嘉愛未さんが演じた主人公の盛岡の老舗旅館の若女将と、そのライバルになった女生との差が正に真の「気が利く人」かどうかであったのではないかと考えます。ライバルの女性の接遇を受けたお客様が「良く気が付く人だけど、少し疲れた」と言ったのに対し、主人公については、「気が付いた上、こちらの気持ちを察して動いてくれたので、我が家に帰ってきたような気分だった」と言ったのは、正に「心地良いパフォーマンス」を与えた事を指すものと考えます。

それでは、このように「気が利く」人はどのようなコンピテンシーを発揮しているか考えてみたいと思います。これらの「気が利く人」が発揮しているコンピテンシーは、前にもお話しした通り、「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」である『顧客志向力』であり、「直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化や兆候を敏感に感じ取り、その変化や兆候への対応を継続的に考案し自ら実行している」レベルであると考えます。このとき、同時並行的に発揮されているコンピテンシーとして、『対人理解力』が挙げられます、『対人理解力』は「単に言葉や態度で伝えられたものだけでなく、言外にある意味も含めて、相手の気持ちや考えを、自分の考えや感情で歪めることなく、その通りに正確に理解していく能力」で、「深い傾聴力を発揮して、相手が深層心理までを共感的に理解しており、人から難しい悩みや相談を持ちかけられ、実際に相手がその悩みを解決している。」レベルが発揮されていたと考えます。

真に相手の立場に立ち、相手のために行動を起こすためには、顧客志向力と対人理解力の2つのコンピテンシーの高いレベルでの発揮が必須であることを考えます。

 

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