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AHPコンピテンシーコラム第164話

靖 伊藤

以前、朝の情報番組で、便利グッズで業績を上げている会社が紹介されていました。見た目は小さな商店のようですが、日本国中から様々な注文を受けているとのことです、この会社の躍進の推進役となっているのが社長。自らの役割をお客様とメーカーとの仲介役と位置付け、お客様とのやり取りの中でキャッチした情報から真の要望を見つけ出し、それを商品化しているとのことです。これは大企業でも行われていることですが、一つ一つの商品の規模があまり大きくないため、大企業としては旨みのない市場ということで、規模を業績を伸ばしてきたとのことです。

そこで、この社長のコンピテンシーを考えてみたいと思います。

まず、お付き合いのある様々なお客様から本音の要望を含んだ情報を訊き出すために必要なコンピテンシーとして、「社内外の関係者との間に、利害や取引的な関係を入れずに、とにかく親しい人間関係を作り上げていく能力」である『関係構築力』が考えられます。もう少しよく話を聴いてみないとわかりませんが、「仕事に全く関係のない話題を気楽に話し合える関係を構築している」レベルが発揮されているのではないかと推察します。

次に、「あらゆる情報源や情報ルートを自ら開拓し、仕事で必要となる情報を誰よりも早く正確に、且つ幅広く集める能力」である情報探求力の発揮が見られます。ただ、自ら情報を集めているのではなく、「独自の情報収集方法、プロセスや情報網を構築し、それらにより、貴重な情報をも迅速且つ正確に収集している」レベルが発揮されているのではないかと推察しました。

勿論、「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」である『顧客志向力』の発揮が見られます。レベルとしては、「直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化や兆候を敏感に感じ取り、その変化や兆候への対応を継続的に考案し自ら実行している」レベルの発揮が推察されます。

そして、「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である『分析的思考力』の発揮が考えられ、少なくとも「状況や環境の分析から表面的なものではなく、潜在的なものをも見つけ出し、実行可能な対応策を自分で考え出している」レベルの発揮が推察されます、

現在のようなカオスの時代では、他人の気が付かないような些細なことにでも関心を持ち、どんな小さなことでは聞き逃さず、そこで得た情報を徹底的に分析することが肝要であることを感じた次第です。

 

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