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AHPコンピテンシーコラム第166話

  • 靖 伊藤
  • 2月6日
  • 読了時間: 3分

以前、朝の情報番組で、『お役所ヒーローが』紹介されていました。お役所というと、以前は『お役所仕事』という言葉に象徴されるように、仕事に対して消極的なイメージがありましたが、今では民間も見習うべき人財がいるようです。

その中の一人で熱海の観光経済課のヒーローはテレビ番組のロケ場所のサポートをしているという人でした。テレビ番組で見落としがちなのはロケ準備の裏側で、このためには色々な手続きがあり、これにかなりの時間を費やしてしまいます。また、個々のお店の取材はなかなか許可が下りないものが多いと聞きますが、このヒーローはそれらの難題を次々とこなしているそうです。彼に対するインタビューの中で、「フリーランサーでやった方が儲かるのでは?」との問いがありましたが、これに対しては「私はお金のためにはやりません。これは街のためにやっているもので、それでなければ皆の協力を得ることはできません」と答えていました。

それでは、この『お役所ヒーロー』のコンピテンシーを考えてみたいと思います。

まず挙げられるのは、「自分自身や組織全体のチャレンジングな目標を、自ら設定し、それを達成するまであらゆる手段を駆使して取り組み、目標を達成しても更に高いレベルを狙うなど、常に高い成果を生み出そうとする能力」である『達成思考力』です。目標というと売上と考える節もありますが、公務員としての目標として町の経済活性化を念頭に置き、実施前に5年前にこの仕事を始めてから20%以上を観光収入が増加していることを考えると、「常にチャレンジングで且つ現実的な目標を設定し、いかなる困難があっても諦めることなく、あらゆる手段を駆使して達成に向けて取り組んでいる」レベルの発揮が考えられます。

次に挙げられるのは「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力である『顧客志向力』です。ロケ関係者の許可取得の煩雑さや街の観光に関わる集客に対する要望を感じ取り、対応しているのは、「直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化や兆候を敏感に感じ取り、その変化や兆候への対応を継続的に考案し自ら実行している」レベルが発揮されていると考えます。同時に、その為に、地域密着型の店と信頼関係を構築し、急なロケの要望や少し無理な要望にでも対応するように調整しているのは、「社内外の関係者との間に、利害や取引的な関係を入れずに、とにかく親しい人間関係を作り上げていく能力」である『関係構築力』であり、「相当な無理難題以外は日頃の友好な関係により、こちらの言い分を喜んで聞いてくれるような親しい関係を構築している」レベルが発揮されていると考えます。

また、これらの全ての行動は「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である『分析的思考力』の表れであり、「状況や環境の分析から表面的なものではなく、潜在的なものをも見つけ出し、実行可能な対応策を自分で考え出している」レベルの発揮が推察されます。

自分の使命を明確にして、それを実践することは、官民双方に共通するものであることを実感した次第です。

 

 
 
 

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