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AHPコンピテンシーコラム第168話

靖 伊藤

論理的思考の4つの思考法の中に、『ゼロベース思考』という思考法があります。これは既成概念を全て取り払い、白紙の状態にして、物事を考える思考法です。人は経験により、様々な知識を習得し、それらを用いて問題を解決しています。しかしながら、最近の世の中の変化は今までの変化の延長線上にあるものだけではなくなってきています。それに対して、今までの常識や習慣に囚われて対処していると、真の問題解決が出来ていない場合が散見されます。

『ゼロベース思考』を活用して成功した一例として、『締めのパッフェ』が挙げられます。『締めのパフェ』は札幌で始まったとされ、バラエティー番組などを通して急速に全国で評判となり、札幌の人が東京で開店し、行列を作る店になっています。『締めのパッフェ』の元々の考案者は、「締めと言えばラーメンだが、それ以外で何かないか」と考え、『締めをパフェで』を考えついたとのことですが、最初は「それは無理だ」という反応が多かったとそうです。しかし、昔から言われる「10人中9人が反対すれば先行者になれる」ことを信じて、実施したところ、今の成功に繋がったとのことです。また、東京に出店した店は広告や宣伝を全く行わず流行語大賞にもノミネートされSNSの『インスタ映え』を活用しているそうです。

これらの行動はいずれも、今までの常識を打ち破るもので、上述の論理的思考の『ゼロベース思考』に基づくものですと考えられます。

能動的な問題解決には、「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である『分析的思考力』のコンピテンシーが求められます。ただ、「社会全体や業界全体の動き、変化を正確に分析・把握し、業界の中でも大きな影響を与えるような実行可能な独自の理論、方策、モデル等を構築している」と考えられる高いレベルを発揮するためには、今までの常識ややり方だけで考えるのではなく、枠を外した考え方を適用する「状況に応じて、既存の方法にとらわれず、全く新しい方法を考案し実行したり、既存の方法でもやり方に改良を加えながら臨機応変に対応したりする能力」である『柔軟性』のコンピテンシーの「状況に応じて、従前の全社の方針や戦略をも根本から考え直し修正するくらいの柔軟な発想を展開し、可及的速やかに行動に移している」のレベルが求められることを実感した次第です。

 

 
 
 

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