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AHPコンピテンシーコラム第174話

靖 伊藤

前回はコミュニケーション能力のお話をしましたので、今回は問題解決能力について触れてみたいと思います。

まず、『問題』という言葉を聞くと眉をひそめる人が多くいます。これはクレーム等発生した問題の対処で大変な経験をした人に多く見られます。実は問題は大きく2つに分けられます。一つは受動的な捉え方による問題で、先にお話ししたように発生してしまっている問題です。もう一つの問題は、能動的な捉え方による問題で、『あるべき姿』から現実を直視して、そのギャップを問題として捉えるものです。この見方で明確になった問題はまだ発生していないか、発生していたとしても小さな問題の段階であり、これらの問題に対して対策を打つことで問題の発生を未然に食い止めることが出来、その結果、『あるべき姿』の実現に繋げることが出来ます。

この考え方は戦略策定の考え方と繋がり、問題解決が戦略目標達成に繋がるものです。

以前、「今月の一冊」で、『パラノイアだけが生き残る』という書籍を紹介しました。『パラノイア』、これは「病的なまでの心配性」ですが、全てのパラノイアが生き残るわけではないと考えます。常に『あるべき姿』を心に留め、自身の現状をしっかり把握した上で、それらを分析して対策を考案し、それを実践しつつ、その効果を検証している人が生き残るのであろうと考えます。

こういう人が発揮しているコンピテンシーこそが、「様々な事象間に共通する意味や関係を把握したり1つの事象から連想的に別の新しい概念を見出したりして、新しい考え方やビジネスモデル、独自の理論を作り上げていく能力」である『概念的思考力』と「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である『分析的思考力』と考えます。『あるべき姿』を持たずに、ただ現状を心配しているだけではギャップを見出すことが出来ず、ひいては対策を考案することが出来ません。『概念的思考力』を発揮して、現実を踏まえた上で、自ら、或いは自組織のあるべき姿を明確にイメージし、『分析的思考力』を発揮して、あるべき姿から見た現状を構造化し、対策を考案・実践し、その結果を検証し続けることがこれからの社会を生き残る唯一の方法と言っても過言でないと考える次第です。

 

 
 
 

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