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AHPコンピテンシーコラム第175話

  • 靖 伊藤
  • 3月11日
  • 読了時間: 3分

今回は前回に引き続き、問題解決能力について触れてみたいと思います。

前回は『あるべき姿』を明確にする『概念的思考力』についてお話ししました。

『あるべき姿』を明確にした後に行うことは、『あるべき姿』から現実を直視し、ギャップを見出すことです。この際、ヌケモレダブリのない味方、つまりMECEの視点が必要になります。問題が起こると、人は自分の関心のあることだけを取り上げて、解決策を立てようとする傾向があります。実際に私が経験したトラブルにおいて現場において。その報告に対して、『あるべき姿』を確認する為に発した「どのような状態になっているべきですか?」という問いに対する返答はなかなか得られませんでした。その返答がなされた後、「その状態と現状とではどのような差異が生じていますか?」という問いに対しては、「それは調べていません」という回答であったことが何度もありました。この段階で必要とされるのが、自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力である『分析的思考力』で、「情報やデータをただ分析するだけでなく、それに基づく洩れダブりのない原因究明を行い実行可能な対応策を自らで考え出している」レベルが要求されます。また、その際、抽象的なものではなく、「三現主義」(現場、現物、現実)に基づく具体的な現状把握が必須となります。これらの現状把握に基づいて、確認された具体的な事象を基に、「何故何故」を繰り返し、真の原因を突き止め、それを課題に転換し、課題の実効策を作成することが必要になります。この時は『分析的思考力』の「状況や環境の分析から表面的なものではなく、潜在的なものをも見つけ出し、実行可能な対応策を自分で考え出している」レベルの発揮が必要となります。ここで述べる「実行可能な対応策」とは、頭で考えたものだけでなく、この問題解決に関わるメンバーの能力や使用できる資源を考慮することが重要で、資源が不足している場合は、その調達も活動の範囲に取り込んで計画を立てることが必要です。そして、最も重要なポイントが自分自身をその計画の推進責任者として位置づけ、実践し、一つの活動が終了するごとに、結果検証を行うことです。

これらの行動は、PDCA活動で、これを粘り強く行うことにより、その業務における成果を上げると共に、結果検証によって得られた教訓から新たな仕組みを構築したり、人材の育成に繋げたりすることが出来るのです。

数回に亘り、『コミュニケーション能力』と『問題解決能力』についてお話をしてきましたが、この2つの能力は、シニア人材に最も求められる能力と言われています。確かに専門知識や専門能力は必要ですが、前述の2つの能力が低いことで、折角の専門知識や専門能力が活躍の行き場を失っていることが散見されます。自身のこれらの能力のレベルと求められレベルとのギャップをまずは認識することが今後人材のミスマッチの解消に繋がるのではないかと考える次第です。

 

 
 
 

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