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AHPコンピテンシーコラム第176話

靖 伊藤

グローバル化の重要性がクローズアップされて久しくなりましたが、グローバルな環境で働く人が必要とされるロジカルシンキング(論理的思考)についてお話ししたいと思います。

グローバル化でロジカルシンキングと言った場合、まずは欧米を念頭に置いてしまいます。確かに私が働いていたドイツ系の医薬品企業のドイツ人はきちんとした論理がないと納得しない方が多かったという印象があります。しかしながら、世界は欧米だけではなく、アジア、中南米、アフリカ、中東など様々な国が存在し、それぞれの国において様々な考え方が存在します。それらの国に赴任し、成果を上げるためには、それぞれの国の人々の論理を理解し、その論理に基づく主張を理解することが必要となります。

海外で働く場合、まず働く環境を整える必要があります。その中で最も重要なことは自身の身の安全を図ることです。マズローの欲求五段階においても「安全欲求」は「基本的欲求」の次に重要視されるもので、これが確保できない限り、安心して業務に従事することはできません。

海外におけるリスクの中で大きなものが治安です。常日頃から自身の周りの情勢にアンテナを張り、リスクを先取りすることが重要になります。その際に必要なこととして、「自己責任」と「批判的思考能力」が挙げられます。

日本人は外国人に比較して「自己責任」のセンスが低いと言われています。日本は治安が良く、、安全であることに慣れている為、治安が良くないと自己責任ではなく、他己責任になりがちです。問題が起こった時も自身の行動がその原因になっているにも関わらず、他人の責任等の外部要因を挙げて、自らの行動を変えないことが多々あります。しかしながら、これではいつまでたっても問題が解決しないばかりか、これからも問題が続発する危険性があります。私が海外駐在した際、ビザの切り替えで問題が発生し、パスポートを半月に亘りブロックされたことがありました。ことの始まりは手続きが遅いと考えた私が、現地職員と共に当局に向かい、少し強めの口調で交渉したことでした。日本ではこれはごく普通の事でしたが、現地職員は少し不安な顔をしていました。その不安が的中し、半月のブロックに繋がったのです。初めは、私は相手の責任と考え、腹を立てていましたが、時間が経つにつれ、事の重大さを理解し、以後は現地社員の言うことに耳を傾け、日本流のやり方を見直すようになり、その後は様々な改善が見られたと感じています。

次回は、もう一つの「批判的思考能力」についてお話ししたいと思います。

 
 
 

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