AHPコンピテンシーコラム第185話
- 靖 伊藤
- 4月14日
- 読了時間: 2分
以前、テレビ大阪の“モーニングサテライト”の最後に、“突然ですが、ピンチです”というビジネスミニドラマが放映されていました。その中で、クレーム対応で、団塊クレーマーと呼ばれるA氏をうまく撃退(或いは懐柔)したケースがありました。
A氏は現役時代に、品質管理の責任者を務めた人で、ファミレスの問題点を指摘してきたのです。本人としては、それほど悪気はなく、むしろ親切心で起こした行為でしたが、度重なる電話に担当者は精神的に追い詰められ、会社を休みようになっていました。その時、俳優の松村雄基が
扮する松村次長が起用したのが、元商社マンのベテランB氏でした。彼はA氏の話を肯定的に傾聴するともに、尤もな点はそれを認め、A氏の見識を褒め、最後は自社工場を見学させ、その際の話の中で、A氏に対して、「それだけの見識があれば、
まだまだ現役でやれるのではないか」と話したのです。A氏はその後、B氏のアドバイスに従い、新しい職場を見つけクレームは無くなったとのことでした。
さて、ここで元商社マンB氏が発揮したコンピテンシーを考えてみたいと思います
まず、B氏の話をじっくり聴き、見識を褒めた傾聴力は、「単に言葉や態度で伝えられたものだけでなく、言外にある意味も含めて、相手の気持ちや考えを、自分の考えや感情で歪めることなく、その通りに正確に理解していく能力」である『対人理解力』のコンピテンシーで、工場見学の際に、B氏の見識を褒め、「まだまだやれる」と言ったことは、B氏が定年後このような機会が少なくなり、それを求めていたことを察知したのは、「相手の性格や行動の特徴など相手のバックグラウンドを理解し、相手が伝えようとしている考え、気持ちの背景までを含めてその通り共感的に理解している」レベルが発揮されていると考えます。
また、これにより、A氏の気持ちをクレームすることから、再度仕事にチャレンジする気持ちに切り替えさせたのは、「社内外の関係者に対して、あらゆる説明の方法やツールを駆使しながら、こちらの考えている通りに相手が納得し、動いてもらうように影響を与えていく能力」である『対人影響力』のコンピテンシーであり、「理論武装、説明資料などを準備するだけでなく、相手の人間的な特性を敏感に見抜き、その特性に合わせた説得方法を事前に綿密に準備をした上で、様々な手管を用いて、相手が聞き入れるまで諦めずに説得を続けている」レベルが発揮されていると考えます。
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