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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第36話

日常で気がついたコンピテンシー。 今回は、企画会社の社長のお話です。

この社長は、20数年前に企画会社を立ち上げ、今ではかなり順調に業績をあげています。企画会社の仕事には講演会の企画・実施の業務がありますが、この業務の成功の可否は主催者側の希望する講師の都合と主催者側の都合のマッチングにかかっているという事です。彼は、この仕事に際して、主催者側に日程の要望を訊くときには、第1候補だけでなく、第3候補くらいまで訊いておき、講師と話をする際には、絶対に可能な日程だけで、準備を進めると言っています。無理を言って日程を調整しても、その後の再調整などで主催者と講師の両方に迷惑をかけることになり、結果的には主催者側が希望する講演会ができないからだそうです。というのも、彼は以前、主催者側が希望する講師に主催者側が要望する日程で無理を言って調整してもらいましたが。後で主催者側の突然の予定変更で、キャンセルを余儀なくされ、その時の彼の対応の悪さも絡み、その後暫くの間、主催者側にも講師側にもコンタクトが出来ない時期があったからだと言います。そのような訳で、彼はその後、主催者側にも講師側にも無理を言わずに、予定を調整することに徹し、それによって顧客の満足を得て、ここまで成長してきたとのことです。

それでは、ここで彼が発揮しているコンピテンシーを考えてみたいと思います。

まず、主催者側に日程の要望を聞くときには、第1候補だけでなく、第3候補くらいまで聞いておき、講師と話をする際には、絶対に可能な日程だけで、準備を進めるのは、「顧客の満足度を常にモニターし、不満な点については、顧客からその理由を聞き出し、対応している」レベルの顧客志向力です。そして、以前の失敗から主催者側にも講師側にも無理を言わずに、予定を調整するという考え方を確立して顧客満足を得るようになったのは、全社に対して影響が及ぶような問題、リスクの発生を常に考慮し、その兆候を見逃さず、問題発生を未然に防ぎ、リスクを最小限にしている」レベルの徹底確認能力であるといえるでしょう。


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