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AHPコンピテンシーコラム第39話

靖 伊藤

日常で気がついたコンピテンシー。 今回はある短期大学の学長のお話です。

少子化のため、現在、大学は学生集めに奔走しています。その中で民間から学長を迎えて、躍進を遂げている大学の学長がいました。彼は「楽しくなければ学校じゃない」というスローガンを掲げて、学校づくりをしたそうです。その時の第1の柱は「お客(学生)に選ばれる学校作り」です。キャラクターグッズを作ったり、定時バスの装飾をしたりして学校のPRには余念がなく、これが街の人にも学生にも評判が良かったそうです。また、設備には金を惜しまず、幼児教育学科の個室練習ができるようにピアノを40台増設したり、生活文化学科に製菓クリエートコースを増設したりして、学生のニーズに応えていました。しかし、彼は「ただ単に学生の求めるものを提供するだけでは教育ではない」と言っています。その表れが第2の柱の「学生の付加価値創造」です。学生はお客様であると同時に、商品であるとの考えの下に、パソコン、英検を必須科目とし、社会に出てから慣れるために週に1度はスーツを着るスーツデイを設定、茶髪についても面接までには染め直しのコースを設けて染め直しを行い、就職率は100%となったそうです。これらの活動を進めるために、直接学長に提案させる制度を設置して、決裁を早くしたとのことです。これらの施策によって、この学校は少子化の中、毎年、定員を上回る応募者があるとの事です

それでは彼の発揮しているコンピテンシーを考えてみましょう。

まず、学生が就職率に関心を感じている事を察知し、第2の柱として「学生の付加価値創造」の諸策を考案し、実行している事は、「直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化を敏感に感じ取り、その変化への対応を継続的に考案し自ら実行している」という高いレベルの顧客志向力です。 「お客(学生)に選ばれる学校作り」としてキャラクターグッズを作ったり定時バスの装飾をしたりしているのは、「相手の人間的な特性を敏感に見抜き、その特性に合わせた説得方法を事前に綿密に準備をした上で、相手が聞き入れるまで諦めずに説得を続けている」レベルの対人影響力であるといえます。そして、この大学に赴任して以来、このような改革を続けた結果、就職率100%を達成する事で毎年、定員を上回る応募者を呼び込んでいる事は、「常にチャレンジングで且つ現実的な目標を設定し、いかなる困難があっても諦めることなく、あらゆる手段を駆使して達成に向けて取り組んでいる」レベルの達成志向力と言えるでしょう。


 
 
 

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