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  • 靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第4話

今回は達成志向力のコンピテンシーについてお話しします。

達成志向力は、「自分自身や組織全体のチャレンジングな目標を、自ら設定し、それを達成するまであらゆる手段を駆使して取り組み、目標を達成しても更に高いレベルを狙うなど、常に高い成果を生み出そうとする能力」と定義しています。

達成志向力のポイントは①チャレンジングなゴールの自己設定、②達成するまでの様々な取組、③あきらめないこと、そして、④達成した後、更に高いゴールを設定する、ことにあります。

また、これらのレベルの事例を1から順に5まで並べると、次のようになります。

レベル1は、『与えられた目標の達成に向けて努力している』です。

レベル2は、『自分の達成目標を自分で正確に理解し、その達成に向けて努力している』

レベル3は、『自分の目標の達成のためには、いかなる困難があっても諦めることなく、あらゆる手段を駆使して達成に向けて取り組んでいる』です。

レベル4は、『常にチャレンジングで且つ現実的な目標を設定し、いかなる困難があっても諦めることなく、あらゆる手段を駆使して達成に向けて取り組んでいる』です。

レベル5は、『全社の業績成果の向上のため、チャレンジングで且つ現実的な目標を設定し、自分の目標のみならず、その全ての達成のためにいかなる困難があっても諦めることなく、あらゆる手段を駆使しながら取り組んでいる』です。

例えば、新入社員が入社したときに、上司から与えられた目標に向かって無我夢中で努力するレベルは1です。レベル3になると、上司の目標を理解した上で、自分の目標を設定し、困難にぶつかっても、あの手この手を打って、粘り強く達成に向けて取り組んでいきます。この際、資源として上司や先輩、或いは周りの人たちを活用することも重要な要素となります。

色々な経営者や経営幹部とお話しすると、やはり、管理職にはレベル4を求めたいということが聞かれます。レベルの設定に際しては、は今できるレベルを設定するのではなく、会社が躍進するために必要なチャレンジングなレベルを設定します。チャレンジングなレベルというのはそれを達成するためにあらゆる手段を講じているレベルです。

以前、ハワイで起こった飛行機事故で、機体の屋根を吹き飛ばされながら、ほぼ全員を乗せて近隣の空港に生還した機長の話がテレビで放映されました。

この機長は事故発生から20分弱の間に様々な厳しい判断をしました。まず、乗員が呼吸を正常にできるようにするために、高度7000メーターから高度3000メーターに高度を下げなければなりませんでしたが、このとき、マニュアル通りの下降速度では機体が空中分解することを予測し、自らの経験に基づき、ぎりぎりの下降速度を瞬時に割り出してそれを実行に移しました。また、着陸に際しては、寸前になって片側のエンジンが停止したため、両翼にあるブレードをマニュアル通りの角度にして減速すると、もし一回で着陸不能な場合に再び上昇できない可能性があると判断し、ブレードの角度をより緩やかにすることで、速度を緩めずに着陸体勢に入り、着陸寸前に通常とは逆に逆噴射の出力を増して滑走路ぎりぎり一杯での着陸に成功したのです。マニュアルは平常時を想定して作られていますが、緊急時にはそれに加えて考慮すべき様々な点があり、彼はそれを全て勘案して無事生還を果たしたのです。

 このときに彼は様々な知識やノウハウを活用し、様々なコンピテンシーを発揮していますが、ベースとなったコンピテンシーは、今、飛行機に乗っている全員を無事に連れて帰るというチャレンジングな目標に向けて、最後まであきらめずにあらゆる手を尽くしたというレベル5の達成思考力ということができるのではないでしょうか?

次回はリーダーシップのコンピテンシーについてお話ししたいと思います。


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