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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第40話

日常で気がついたコンピテンシー。 今回は貿易会社の物流部門で働いていたアシスタントの女性のお話です。

彼女は上司やパートナーから非常によく気が付く人だと評価されていました。

或る日、彼女のパートナーの男性が運送会社から通関業務の担当者を出向で迎え入れるための契約書をどのように作ろうかと悩んでいました。普段からパートナーの男性の様子をよく観察していた彼女は、パートナーの男性が上司から契約書についての指示を受けた事をも見ており、回りの人からもそのことについて聞いて理解していたそうです。そこで、「以前に出向受入に使用した契約書を出してあげれば役にたつだろう」と考えて、自分が以前、担当していたときに使用した契約書を何通か探し出してその男性に渡したとのことです。

さて、この女性の発揮したコンピテンシーを考えてみましょう。

まず、彼女は普段からパートナーの男性の動向を観察しており、その男性が上司から契約書についての指示を受けた事を自分の目でも見て、自分が以前、担当していたときに使用していた契約書を何通か探し出してその男性に手渡したのは、「顧客の様子から、相手が求めているものを敏感に察知し、対応している」レベルの顧客志向力で、その男性が上司から契約書についての指示を受けた事を回りの人からも聞いていたのは、 「情報が必要な際は、自分の周りだけでなく、様々なところに積極的にコンタクトし、幅広く正確な情報を入手している」レベルの情報探求力です。また、様子を見ていると、どうも頭を抱え込んでいる様子なので、「これは契約書の雛型を出してあげれば役にたつだろう」と考えたのは、「言葉では明確に表現されていないことでも、相手の雰囲気から正しく理解している」レベルの対人理解力と言えるでしょう。

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