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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第44話

日常で気がついたコンピテンシー。 今回は電機量販店の店員さんのお話です。

ある日、私が仕事で音声認識ソフトが必要となり、ある電機量販店を訪れた時のことです。最初に訪れたA店で「N社の一昔前のビジネス機でこのソフトは使えるか」と尋ねたところ、対応してくれた販売員は「OSは何ですか」と訊いてきました。そこで 「多分ウィンドウズ98だと思う」と答えたところ、「このソフトは98SE以上でないと無理です」と言って、「どうしたら使えるか」と訊いても、「無理です」の一点張りでした。そこで家に帰って、正確な機種名と型名を調べて、別のB店へ行き、販売員に早急にこの種のソフトが欲しいと話したところ、こちらの型式からCPUなどを全て調べてくれた上で、「メモリーを増設すると、理論的にはぎりぎりのキャパで動く事になりますが、実際には稼動しない事が予想されます。ソフトやメモリーなどを足すと5-6万円になりますので、やって見ては如何でしょうかとは言えません。」と説明してくれました。この答えで私は納得し、今の機械での使用は諦め、新機種の検討を始めた次第です。

さあ、それでは、この2人の販売のコンピテンシーの相違を比べてみたいと思います。A店の販売員は機種が合わないと自分で判断すると、その後は「無理です」の一点張りであり、顧客志向力においては「顧客からの直接的な要求に対しては対応しているが、自分から顧客満足につながるようなことを察知し研究したり、それを行動に移すことはしたりはしていない」レベルに満たないレベルであり、対人影響力においても、私の納得感を得られておらず、「自分の考えや要求を相手に伝える際に、相手が説得できないと、すぐに諦めてしまう」レベルであると言うことができます。

一方、B店の販売員は、仕事でできるだけ早くこの種のソフトが欲しい旨を話しただけで、こちらの型式からCPUなどを全て調べてくれた上で、「メモリーを増設すると、理論的にはぎりぎりのキャパで動く事になりますが、実際には稼動しない事が予想されます。ソフトやメモリーなどを足すと5-6万円になりますので、やって見ては如何でしょうかとは言えません」と説明してくれた事は、顧客志向力では「顧客の満足度を常にモニターし、不満な点については、顧客からその理由を聞き出し、対応している」レベルであり、対人影響力では、「こちらの考えや要求を相手に伝える際に、その根底にある理由を正確に伝えることにより、相手を説得している」レベルであるといえます。

どちらの販売員がお店のファンを増やしているか、また減らしているか、皆さんは良くお分かりですね。

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