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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第46話

日常で気がついたコンピテンシー。 今回は、あるベンチャー企業の社長のお話です。

その社長さんとはあることで知り合い、時折、気が付いたことをアドバイスしていました。知り合ってすぐの頃でしたが、事務所に電話をかけて「社長さんはいらっしゃいますか?」と訊いた時に、若い社員が「外出しています」という返事だけだったので(この社員は私と面識があったのですが)、次に社長さんに会ったときに、その時の状況を話し、「こういう場合は『何かご伝言はありますか?』或いは『こちらから電話をするようにお伝えしましょうか?』といった方が良いですね」と申し上げました。また、この会社は二つ事務所があり同じような対応だったので、「もう一つの事務所も同じですね」と申し上げたのですが、2、3日して別件で電話すると、その社員の対応が前とは変わっていており、もう一つの事務所に電話をしたときも同じようにも変わっていたのです。

 また、この社長は社員の自主性を重視していました。場合によっては「このようにしなさい」と言うこともありますが、基本的には商品の構築や顧客への対応については、一度、社員にやらせてみてどのようにするかを社員が気が付くまで我慢して訊きだす様にし、社員が気が付いたところで、詳しく話をしていました。

この社長の行動からはリーダーシップと他者育成力のコンピテンシーが見てとれます。第3者(私)から指摘されたことで、顧客への対応として必要と感じたものは、すぐさまに社員に言って行動を変えさせていくことは、「自ら組織全体の方針を考えて打ち出し、部下に対して出来る限りのサポートや動機付けを自ら行ない部下全体から信頼され、方針に沿って組織を導いている」レベルのリーダーシップであり、部下のやり方を尊重し一旦やらせてそれが良いかどうかを納得させた上で、必要であれば、その行動を変えさせているのは、「模範行動のみならず、その理由や概念など詳細な説明を本人が納得できるまで丁寧に説明することで指導・育成を行っている」レベルの他者育成性向であるということができるでしょう。

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