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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第68話

日常で気がついたコンピテンシー。 今回は和食屋の店員さんのお話です。

新型コロナウィルスが流行する前のことですが、友人と3人で神戸の和食屋さんに食事に行きました。その店は少し目立たない所にありました、以前この店に来た友人のA君が「良かったので行こう」ということでこの店に来ることになりました。料理はお任せコースにしたところ、こちらが丁度食べ終わったのを見計らったかのように、店の女性が次の料理を運んでくるといった具合でした。そして、料理の最後は冷麺とスパゲティーでどちらかを選ぶことになり、A君は「今まで両方共食べたけれども、両方共美味しかった」というので、散々悩んだ挙句、私が冷麺、あとの2人はスパゲティーにしました。ところが、それを聞いた店の女性が暫くして厨房から出てきて、「マスターが半分ずつにしましょうかと言っていますが、如何でしょうか」と言うのです。私たち3人がどちらにするのかを散々悩んでいたことをマスターに話したところ、「それなら、半分ずつ出して両方共楽しんでもらおうか」と言っているというのです。私たちは勿論、喜んでそうしてもらい、両方の味を楽しむ事ができました。友人の話ではこんな事は初めてのことだと言って、「またこの店に来よう」という話になったのは言うまでもありません。

さて、この局面では、このマスターは、私たち3人がどちらにするかを散々悩んでいたことを女性から聞いて、このお客さんたちは両方を食べたがっていることを感じて、半分ずつ出せば喜んでもらえるだろうと考えて実行してくれたのですが、これは、「顧客の様子から、相手が求めているものを敏感に察知し、対応している」レベルの顧客志向力が発揮されたということが出来ます。高い顧客志向力のコンピテンシーを持ったマスターが自ら料理を作って出す店ならではの粋な計らいで、このような店は一度来たお客様をまた引き寄せるものを持っているものだと実感した次第でした。

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