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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第75話

日常で気がついたコンピテンシー。 前回は対人理解力のお話をしましたが、今回はそのもう一つ高いレベルについて薬品会社の優秀なMR(医薬情報担当者)Aさんの例で考えてみたいと思います。

 Aさんは優秀なMRで、地方の個人病院を担当したときも、大学病院を担当した時も、社内で指折りの成果を上げていました。ある営業所に配属されリーダーとなり、部下を持つようになったとき、部下の中に担当している病院に薬をなかなか認めてもらえないB君がいました。そこでAさんは一度、B君に同行して病院に行き、先生と話をしているのを観察した上で、次にもう一度、同行したときに、B君に代わって先生と話をしたところ、先生がかすかに口を開こうとした事に気付き、「何かご質問がございますか?」と訊くと、先生は「薬の効用はB君が何度も説明してくれているが、その具体的な例はどれくらいあるのかね」と訊かれ、それに対して具体的な2,3の事例について話をすると、「そんな薬なら使ってみても良いかもしれないな」ということになり、以後、使ってもらえるようになったということです。 AさんはB君に同行したときのことを次のように話していました。

「B君は薬の話をしているときに、先生が質問をしようとしても、それに気付かず自分のペースで話を続けていたが、先生は、自分が質問したことが気になって、B君の話を上の空で聞いているような感じで、ある程度まで聞くと、『分かりました』と話を打ち切っていたのに気付いた。これは先生が何かを訊きたいと思っているのに、B君は一方的に話をするので、それ以上聴く気持ちをなくしているのではないかと考えた。」

 ここでAさんが発揮したのが、「言葉では明確に表現されていないことでも、相手の雰囲気から正しく理解している」レベルです。

 優秀な営業マンや販売員などは、言葉に表れない人の気持ちを察知して成果を上げているのではないでしょうか。

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