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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第79話

日常で気がついたコンピテンシー。 今回は関係構築力のコンピテンシーについてお話をします。関係構築力は「社内外の関係者との間に、利害や取引的な関係を入れずに、とにかく親しい人間関係を作り上げていく能力」です。営業マンなどで見た目は特に努力をしていないのに次々と成約を上げている人はこのコンピテンシーの高いレベルを発揮しています。

 以前、医療器具メーカーに勤めていたA氏も関係構築力のコンピテンシーが高い一人です。彼はある病院から高額な医療用測定機器を受注しました。新しい機器の紹介をしてから受注までわずかに1ヶ月程度と、通常に比べてかなり短い日数でした。どのようにして受注したか訊いたところ、その病院の院長先生とは10年来のお付き合いで、機器の事を少し話したところ、「現場で測定機器が古くなったので、もう少し新しい機能を持った機器に入れ替えようという話が出ている。次の時に担当者を呼ぶので話をしてくれ」と言われ、次の時に説明をし、とんとん拍子に決まったということです。そこでその院長先生との出会いからの話を詳しく聴いてみると、初めて訪問した時はなかなか会えずに苦労したが、初めて話を聞いてもらえたときに少し自社のプレゼンを行っただけで、そのあとは常に先生の話を聴き、そこで感じた先生の要望、例えば、医療機器の最新情報や、時には好きな食べ物などに迅速に対応していったところ、段々と個人的な話などもしたり聴いたり出来るような関係になったとのことです。そんなことで今回は新しい機器が発売することになり、自分としても実績をあげなければならないので、何とかしてもらえないかと思い、「実は新しい機器が出て頑張らなくてはいけないのでよろしくお願いします」と言ったところ、とんとん拍子に話が進んだということでした。

 さて、ここでA氏が発揮した関係構築力レベルを考えてみると、これは「相当な無理難題以外は日頃の友好な関係により、こちらの言い分を喜んで聞いてくれるような親しい関係を構築している」レベルです。このコンピテンシーは自分ではそれをあまり意識せずに時間をかけて発揮していることが多いようですが、意識して振舞うことにより更にレベルを上げた人もいるようです。

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