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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第83話

日常で気がついたコンピテンシー。 今回は採用に生かすコンピテンシーのお話の続きです。

 82話では採用する人材要件の共有についてお話しました。今回は、それを実際の面接において、自社の採用しようとしている人材モデルと面接の相手とのギャップを明らかにする方法をお話しします。

 通常、面接では時間を節約する為に、質問を用意して「はい」「いいえ」で答えさせる限定質問法が使われることが多いと思います。確かに、多数の応募者からある程度の人数に絞る時には限定質問法は有効な方法ですが、この種の質問に対しては、面接を受けている人は、グレイゾーンの答えを持っている場合でも、面接官の表情を見て、「はい」と言うべきか、「いいえ」と言うべきかを判断して答えているケースが多々見られ、その場合はその人の実像を明確にイメージする事は難しくなります。

 一方、コンピテンシー測定を活用した面接法では、面接相手の過去の成功事例(私はこれを自慢話や苦労話と言っていますが)を、6W5Hを駆使した拡大質問法使いますので、その人は自分が過去に行なったことを思い起こす為に、一度、頭の中を駆け巡って拾い集めた上で、それらの事柄をありのままに話すことになり、面接者はその人が過去に成果を出した時にどのように考えどのように行動したかというイメージを共有することが比較的容易になるのです。尚、この面接法については、「そのやり方では自分の話を上手に話す人だけが評価されてしまい、寡黙だけれども本当は優秀な人はあまり評価されないのでないか」という批判もあります。それは確かです。だからこそ、寡黙な人からでも話を引き出す面接者の質問力が求められるのです。この質問力を磨き上げ、面接の現場において面接相手が成果を出した時にどのように考えどのように行動したかというイメージを共有し、そのイメージから特定されたコンピテンシーが自社の求める人材に必要な物かどうかを見極めて採用の良否を決める事が重要になるのです。

 

 本日のキーワード : コンピテンシー測定の質問力がその人の実像を引き出す

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