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AHPコンピテンシーコラム第91話

  • 靖 伊藤
  • 2024年5月9日
  • 読了時間: 3分

日常で気がついたコンピテンシー。今回は指示・説得型コミュニケーションの論理構成についてお話します。

セミナーや研修で、「人前で話をするのが苦手な人はどれくらいいますか?」という質問をすると、半数以上の人が手を挙げます。その人たちによると「何を話してよいか分からず、事前に原稿を書くとそれを棒読みにしてしまったり、頭が真っ白になってしまったりする」ということです。確かに、私も原稿を書くと、それを完璧に覚えない限り、目が原稿に行ってしまい、聴衆を見ることができなくなり、結果的には、出来の悪い話をしてしまった経験もあります。

このような場合に大切なことが3つあります。

第一は、「何を話す」ではなく、「何のために話す」のかという事を明確に定める、つまり、話の目的を明確にすることが大切です。以前、私は3千人位の人の前で、ある役職を勤め上げた事に対する表彰を受け、それに対して表彰者を代表して謝辞を述べることになりました。その際、先ず考えた事は、この活動において、様々な人との絆を強くすることができたので、それを更に強くして、今後とも何らかの貢献をしたいという事を表明しようと考え、その為に、前にされた挨拶や直近のトピックスを織り交ぜ、謝辞を述べ、自分として成功裏に終わったと考えています。尚、このようなときも全く準備しないというわけには行きません。ポイントはキーワード程度で整理しておき、それをPREP法でまとめておくことが大切です。PREPとはポイント(Point)、背景・理由(Reason) 、例示(Example)、ポイントの繰り返し(Point) の頭文字をまとめたものです。まず最初に、結論(或いはポイント)を述べ、その後で背景・理由、そして例示をした後、最後にもう一度結論を述べるという順番を明確にしておくことです。最初に結論を言っても最後にもう一度結論を繰り返すことで相手に対して、結局何を言いたかったのかを強調することが大切なのです。

第二は「聴衆分析」です。話す事の目的は相手に理解してもらい、納得してもらい、その趣旨に沿って行動してもらうことです。その為には、「聴き手にとって、必要で価値のあるものは何か」を考え、「聴き手の知識のレベル」を把握し、「聴き手を説得するには何が必要か」を見定めることが重要です。以前、私は労働組合の書記長を務めた事がありますが、本部役員が支店の組合員大会に行って話をすると、分かりにくいという事がよくありました。これは、本部役員は労働用語を多く使うと共に、商社で本社勤務の場合、英語で話すほうが通じやすい為に英語を多用する為に、英語に慣れていない支店では理解しにくいということが原因でした。本来であれば、支店の組合員に理解してもらうためには、彼らの関心事をきちんと把握した上で、彼らの知識レベルを理解する必要があったわけです。

第三は日時・時間(いつ)、場所(どこで)、機材・設備(何を使って)等の制約条件を理解しておくことです。最近の講演は機器の発達により、プロジェクターでパワーポイントを使用して会議や講演等を行う事が増えていますが、それを全ての前提としてしまうと、そうでない場合、その場になって慌ててしまうことがありますので、事前にそれに関する情報を収集しておく必要があります。

次回は論理構成をまとめる上で、重要な点をもう少し詳しくお話ししたいと思います。

 
 
 

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