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靖 伊藤

AHPコンピテンシーコラム第88話

日常で気がついたコンピテンシー。 今回からは相手をその気にさせるモチベーションアップに繋がるコンピテンシーのお話をしていきます。

ビジネスにおいては、自分の力で切り開いていく事は勿論、重要ですが、自分だけで全ての事をしようとすると、限界が生じます。ポストが上がると、「継続する為に今の業務をきちんと動かして成果を上げていく」マネジメントと、「現状のままでは経営  ビジョンが実現できないので変革を起こす」リーダーシップが求められますが、その為には、周りの多くの人たちに理解してもらい、納得してもらい、行動してもらうことが必要になります。

それでは相手をその気にさせる為には何が必要なのでしょうか?ここに「心理」と「論理」のバランスが必要になります。「心理」は信頼から生じます。色々世話になり、話も聞いてくれて、助けてくれる人に対しては、信頼が芽生えてきます。但し、相手に如何に信頼を寄せていても、言っている内容に対して違和感を持つと、どうしてもその気にならないこともあるでしょう。これを補うために「論理」が必要になります。先の先まで見通して、現実の重要な部分を洩れダブりなく正確に把握して、本質を見極めた上で、考えた事を、相手に分かりやすく話されると、「なるほど、そうか」という気持ちになるのではないでしょうか?「心理」だけでも「論理」だけでも駄目。双方を持ち合せている事が必要なのです。

それでは、「心理」と「論理」を駆使する為にはどのようなコンピテンシーが必要なのでしょうか?

ここで、信頼、或いは人望がある人の行動を考えてみましょう。このような人たちに共通する行動としては、「人の話を傾聴する」、「タイムリーに相手の立場を踏まえた助言をする」、「梯子を外さず、最後まで付き合う」、「時として、厳しい指摘をしてくれる」等が挙げられます。これらの人たちは人間性として、「誠実である」ということが言えると思います。そして、次にコミュニケーション能力の高さが見て取れます。傾聴は「対人理解能力」、的確な助言や厳しい指摘は「対人影響能力」です。特に助言や指摘はやり方を間違えると、相手に横を向かせることがあり、これを的確に行う為には、高いレベルの「対人理解能力」が必要です。傾聴は様々な効果をもたらします。傾聴において、高いレベルの質問力を発揮することで、相手の中に埋もれていた才能やノウハウを引き出すことで、相手は自分で話しているうちに自ら解決策を出すことすらあるのです。

次回は「心理」から「論理」に話を繋げてみたいと思います。

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