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AHPコンピテンシーコラム第90

巷で見かけたコンピテンシーの高いハイパフォーマーの実例を取り上げてみました。

日常で気がついたコンピテンシー。 今回は指示・説得型コミュニケーションの質問法についてお話します。

「意見・提案」「動機付け」「潤滑油」は「相手に自分を理解してもらう」コミュニケーション、即ち、指示・説得型コミュニケーションの目的です。これらの目的に使われる質問方法が「選択質問」「誘導質問」「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」です。

「選択質問」は傾聴・共感型コミュニケーションにおいて、相手が自分の中から答えを引き出す事を助ける働きもありますが、幾つかの選択肢を提示して相手に選ばせることで、動機づける役割も持っています。例えば、「これをしなさい」というより、「Aという方法とBという方法があるけれど、貴方はどちらの方が良いと思う」というような質問法です。前者が受動的になるのに対して、後者は自分が決定者になる事が出来る為に、能動的な気持ちになるというものです。この方法は、お客様に対して、1つの提案だけを持っていくのではなく、複数の提案を持っていくことで、決定に対して前向きにさせることができます。

「誘導質問」も質問を並べてこちらが考えた方向に相手を持っていく質問です。

「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」は最初に相手がとても受容しないような要求を出し、相手がこれを断ると、次に、本来のお願いを依頼するという質問法です。相手は一度断っている手前、引け目を感じて、今度は何とかしてやりたいと思い、少々のことなら受け入れてしまうという心理を活用した方法で、選択質問との組み合わせにより、効果を発揮します。

「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」は、最初に誰もがたやすく受け入れてしまうような依頼をして、この依頼を取っ掛かりにして、その後に、本来のお願いをするという質問法です。例えば、社内説得で、最初から思い切った改革提案をすると、大きな抵抗に遭い、なかなか実施にこぎつけない事が往々にしてありますが、思い切った改革提案を幾つかのフェーズに分け、提案し、先ずは実施にこぎつけ、成功を積み重ねることで、最初に狙った思い切った改革を成し遂げる為にも有効な方法です。

最初は、傾聴に徹して、相手の考えている事をしっかり把握するとともに信頼を勝ち取り、相手の心を動かす為には、質問法を駆使することが必須となるのです。

次回は指示・説得型コミュニケーションの論理構成についてお話します。

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