AHPコンピテンシーコラム第139話
- 靖 伊藤
- 2024年10月24日
- 読了時間: 2分
以前、ある情報番組でプロカタログを使用して業績を伸ばしている会社が扱われていました。その中で、興味を引いたのは広島の消防用品を扱っている会社です。この会社は消防隊員が使用する様々な用具を全国の消防団にカタログ販売している会社とのことです。商品で最もよく売れているのは、オリジナルTシャツで、これは消防現場が非常に危険な現場である為に、お互いの信頼関係が最も大きなカギとなる為、皆同じTシャツを着ることで絆を確認しあっている事が多く、1枚5~6宣戦するにも関わらず注文が多いとのことでした。
この会社は、始めはTシャツの製造販売をしていた会社であったそうです。Tシャツを販売しているうちに、消防団からのオリジナルTシャツの注文が多いことに気付き、オリジナルTシャツの販売を行っていくうちに、消防団でしか使わない用具の調達で苦労している事を感じ、消防団員用の水か多くかかっても足が濡れない靴下などを開発し業績を伸ばしてきたそうです。
ここで、このビジネスの開発販売に携わった人のコンピテンシーを考えてみたいと思います。
通常、商品開発と言うと、創造力が必要と言うイメージが強いのですが、ここでは、やはり、「直接に顧客に接し、顧客が求めているものを、敏感に且つ正確に把握し、対応していく能力」である『顧客志向力』の発揮が見られると思います。Tシャツ販売の中で、消防団員からオリジナルTシャツの発注が多い事とその理由を把握した事や、オリジナルTシャツの販売を通して、消防団員が特殊な用具の調達に問題を持っていることを感じたことは、「直接多くの顧客に接することで顧客ニーズの一般的な変化や兆候を敏感に感じ取り、その変化や兆候への対応を継続的に考案し自ら実行している」レベルが発揮されていると考えます。そして、それらで収集した情報から顧客の真のニーズに応える商品を提供し業績をアップさせる事が出来たのは、「自分の業務環境において、現状や問題などを正確に理解、整理、分析し、自分としての解決策を考案する能力」である『分析的思考力』の「社会全体や業界全体の動き、変化を正確に分析・把握し、業界の中でも大きな影響を与えるような実行可能な独自の理論、方策、モデル等を構築している」レベルの発揮が見られると思います。
今迄も様々な商品開発に関するお話を取り上げてきましたが、やはり顧客の話を良く聴き、そして、詳細な情報を入手し、それを元に顧客の真のニーズに応えていくコンピテンシーを持った人材の育成が重要であると感じています。

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